得をしているようで損をしている、ってこともあります。

Macを感じる感覚は意外とテキトーって知っています?で書いた”人の持っている感覚の3つの特徴”の2つ目「小さい変化には敏感だが、大きな変化には鈍感」について説明をしたい。
 
その時にも説明した自分の経験だが、昔ボンダイのiMacが233MHzが、iMac DVの400MHzとなった時は劇的に速くなったと感じた一方でiMac 2009/2.0GHzが3.1GHzになってもあまり劇的に速くなったと感じなかった。
 
つまり、対象が「もともと遅いスピードのMacであれば、ちょっとスピードアップしただけでもその差を大きく感じ、対象がもともと高速なMacだと、大きくスピードアップしてもそれほど大きな差に感じない」という感覚を人は持っているということだ。
 
ここから言えるのは、これだけMacのスピードが成熟してくると、もうマシンの処理速度をアピールポイントに出来ないということだ。そのため、需要を喚起するにはMacを新しいデザインにする(MacBook Air等)とか、新しい部品を用いる(SSD等)しかない(安売りという手もあるがアップルはその路線にはいかない)。アップルの販売戦略はごもっともな手法だと言うことが出来る(成熟したPC市場で戦うよりも、iPodの音楽市場やiPhoneの携帯市場に移行するというのも正解)。
 
それから、この感覚は別にスピードだけの話ではなく、価格の感じ方にも言うことが出来る。
 
iTunesストアで85円のアプリが期間限定で無料になっているとすごいお得感があるが、10万円以上するMacBook Proを1000円値下がりしたぐらいではあまりお得感がない。アプリはわずか85円の差で得したと感じ、MBPは1000円の差があるにも得したと感じない。
 
特にこの「無料」という言葉には魔力があって、ものが無料になった瞬間に人は魅了されてしまう。
 
例えば、iTunesカードの特売で一人1枚だけ購入出来るとする。あなたなら次のどちらのカードを購入するだろうか。
1.2500円で販売されている5000円のiTunesカード
2.無料でもらえる1000円のiTunesカード
 
同様のチョコレートを用いた実験の結果から、無料のものを選択する人が圧倒的に多いことがわかっている。つまりほとんどの人が1000円のiTunesカードを選択することが予想される。1000円のiTunesカードで得するのは1000円、5000円のカードで得するのは2500円にも関わらずである。「無料」に魅了されてその他の選択肢を排除してしまったら、損をする危険があるということだ。
 
「小さい変化には敏感だが、大きな変化には鈍感」という感覚は、人は「小さい数値のほうを過剰に評価してしまう」ということでもあるので注意をしたい。

次に人の感覚の3つの特徴の3番目の感覚について”多くのPCユーザーは、PCが好きだから・Macが嫌いだから乗り換えないということではない。その1”にて説明したい。

参考文献:ダン・アリエリー著 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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