kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第30回 かわいすぎる子にも旅させよ

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

さて、またまた大きなニュースが飛び込んできました。Disney社とPixar社との映画配給契約が現時点のものを持って解消されるという、ディズニーにとっては大きな痛手となる結果となりました。というのも、ここ最近のディズニーの長編アニメーション作品の状況は、まさにこのピクサー作品によって支えられていると言っても過言ではないからです。現在までに分かっていることとしては、現契約下での2作品、「The Incredibles」「Cars」を最後にDisney社での配給を終了すること、またDisney社プレスリリースにて「Toy Story3」を制作する、という言葉を見る限り、Disney社との契約下で公開された計7本の作品に付随する権利はDisney社側に残される契約になっている模様です。つまり、次に出てくるであろうピクサー作品の「続編」は、その話やキャラクターを作り出したクリエイター「以外」の手によって作られるのです(実際のところ、すでにDisney社によってトイ・ストーリーの主人公の一人、バズをフィーチャーした作品はあるはあるんですが、作品の質としてはトイ・ストーリー、および2にはとうてい及ばぬ内容でした)。これは非常に恐ろしいコトになってしまったな、というのが正直な感想です。

様々なメディアに登場したニュースで、Pixar社のCEOとして登場したスティーブ・ジョブスが「Pixarの将来の成功をDisneyと分かち合えないのは残念だ」と言っていたのが非常に印象的でした。というのも、どうやらこの人、PixarのCEOながら、その実「Pixar社では何も口出ししないこと」というのを条件に仕事をしているという話らしいのです。で、唯一の彼の仕事は「社外の交渉役」。ここマックメムに来ている方ならば彼がどんな交渉をしているかは想像に難くないと思いますが(笑)、契約当初は数本の短編しか作っていなかった小さな会社が、当時巨大なメディアだったDisney社と対等の契約を引き出すあたり、やはりすごいとしか言いようがないと思います。Disney社は「あのとき買収しておけば・・・」と思ったに違いありません。でも、後悔先に立たずです。

さて、これからのDisney社を待ち受ける未来はどうなるのでしょうか。ご存じの通り、Disney社は大きな資産を持っています。それはキャラクター。この資産をDisney社は必死に守っていて、その結果がロビー活動のたまもの、著作権の有効期間を伸ばす、いわゆる「ミッキーマウス保護法」まで作って自分の資産を守っています。これの是非についてはまた別の機会に考えたい(気もするけど重いテーマで私は苦手ですね(笑))のですが、それ以外にも過去の長編作品などの資産が大量にあります。ところが、現アイズナー体制でそのほぼ全てをDVD化してしまい、これによる売り上げはもう見込めない状況です(DVDに変わる新しいメディアが台頭してくれば別ですが、マニアでなければDVD画質で十分かもしれないですね)。つまり、現時点では過去のものを全て売り尽くしてしまっている状況といえるでしょう。

となると、Disney社の新作が気になるところですが、上記のプレスリリースによると20ものプロジェクトが進行中ですが、どうやらそのほとんどがCG作品になるようです。Disney社によるCG作品というと、「ダイナソー」があるのですが、内容も興行成績も決してほめられたものではなく、今動いているプロジェクトもかなり心配になってしまいます。

ともあれ、Pixar社にとってもDisney社にとっても、今回の件は大きなターニングポイントになるかと思います。大きなメディアネットワークを利用できなくなったPixar社、そして自ら育てたライバルを野に放ってしまう結果となったDisney社。kyokuchoはどちらの会社もだったりしますので、切磋琢磨してもらって、次はどちらの会社も「作品」で驚かせて欲しいものです。

では!
(kyokucho/宮田 健)

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