kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第60回 パークで非日常を体験

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

ここでコラムを書いていることは会社バレしているんですが、ディズニーランドなど全く無関係な雰囲気の課長が一言、「東京ディズニーランドとか行って、絶対に街中じゃかぶれないような帽子とかみんな買うでしょ、アレがわかんないんだよね」と。話を聞くと課長の奥様はまさにその「帽子を買う人」なんだそうですが(笑)、あの心理は確かに不思議ではありますね。ただ、その不思議の裏にもちゃんとしたテクニックがあります。

ディズニーのテーマパークは、ウォルトが意識的におこなったのかどうかは不明ですが、非常に巧妙な心理的テクニックがちりばめられています。たとえば、全世界にあるロスのディズニーランドを発端とするマジック・キングダム系テーマパーク(ロスのディズニーランド、フロリダのマジック・キングダム、東京ディズニーランド、ディズニーランド・パリ、そして香港ディズニーランド)は必ずエントランスの右側に未来を表すトゥモローランド、左側はアドベンチャーやフロンティアなど、比較的過去に向いたテーマランドがあります。心理学者の富田隆氏がおもしろいことを言っていまして、右脳と左脳の役割から見るとこの配置は心理学的にぴったりなんだそうで、論理的な思考を行う左脳(=右側)は、まだ経験のない未来領域を、直感とかパターン認識を行う右脳(=左側)は過去や自分の内面が投影されるんだそうです。まさにディズニーランドの配置と一緒なんですね。これが何をもたらすかというと、この「非日常の世界」にすっと入ることを助けてくれると考えています。

そのほかにもこの非日常への入り口には巧妙な仕掛けがしてあるのをご存じでしょうか。東京ディズニーランドに電車で行かれる方は幸せで、その仕組みを体験できるようになっています。舞浜駅からパークに向かう橋の上に、ちょうど今はボン・ヴォヤージュという奇妙な建物が出来てしまったのですが、そのちょっと先に屋根のあるところがあります。ここには、ミッキーマウスやプルートの彫像が置かれているのですが、ここから先に行くと急に音楽がかかるのにお気づきでしょうか。実はここからディズニーのマジックは始まっています。すでに、ここから先は「非日常の世界に浸ってもらいますよ」という仕掛けがあるんですね。ここが第一の「パークの入り口」。

そして第2の入り口は入場ゲート。ここで初めて出会うのが、あなたとコミュニケーションを取ることが仕事のキャスト。そして日常ではあり得ないけれども、日本人であるにもかかわらずなぜか懐かしい雰囲気を持つ建物。そのメインストリートの向こうには真っ白なお城が。アーケードをくぐり終わった頃には、もう日常の生活などどこかに吹っ飛んでしまっているでしょう。よく、ディズニーのテーマパークは異世界にいるようだ、という感想を書かれることが多く、これをディズニー・マジックと表現されているのですが、そのためにはいろいろと巧妙な仕掛けがしてあるのです。

ここまでが、ディズニーの用意しているマジック。でも、最近気がついたのですがもう一つのマジックがあると思います。以前ここでも書いたのですが、ぜひ多くの人を連れだって行ってみてください。そのときはハロウィンのイベントもあり、朝からみんな変な帽子を一人1個づつ購入して一日中楽しんでいました。一番びっくりしたのが、私の同居人までハロウィンカチューシャを付け始めたこと(←今まで何十回と一緒に来てましたけどこんなの買う人じゃなかった(笑))。あなたの日常を非日常に変える一番のタネは、あなたと一緒に来ている友人なのかもしれないと思った瞬間でした。マジックを作り出すのは、友人でもあり、あなたでもあるのです。

集団心理というのは恐ろしいもので(笑)、みんなが非日常でいると自分も日常でいるのがなぜか恥ずかしくなってきてしまうものです。パークに仕掛けられた様々な心理的仕掛けをうけながら、いつもの生活を忘れるというのもいいんじゃないでしょうか。でも、はめを外しすぎて周りに迷惑をかけないことと、駅に着く前には普通の格好に戻ることをお忘れ無く。

では!

(kyokucho/宮田 健)

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