遠藤のモバイルガーデン:猫じゃらし ねこのしっぽは1つじゃない話。

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遠藤です。みなさんこんにちは。

猫じゃらし、ご存じですよね。
実際にネコをじゃらしたことがある方も多いのではないでしょうか?
特に若いネコだと、本当におもしろいように遊んでくれます。

猫じゃらしは別に、ネコをじゃらすために生まれてきたわけではないのですが、あつらえたように、ネコをあやすのに向いている植物ですよね。

私の家には近所のネコがよく遊びにきますので、猫じゃらしでじゃらして遊んでいると時間の経つのを忘れます。
 

猫と猫じゃらし

植物に詳しい方なら猫じゃらしは本当の名前ではなくて「エノコログサ」と言う、なんていうこともご存じかもしれません。

猫じゃらしを見ない日はないのではないかと言うほど、猫じゃらしがたくさんありますね。

猫じゃらしかそれ以外の植物かどうかは比較的簡単に区別することができますが、
猫じゃらしは1種の植物なのでしょうか?

種明かしを今回は先にしてしまうと、猫じゃらしの仲間は日本では街で普通に見られるものだけでも4種が生えています。

これは、私の家のそばを5分くらい歩いて見つけた4種の「猫じゃらし」です。それぞれの種は同じ所に生えているとは限りませんので、ちょっと引っこ抜いてセブンイレブンのコピー機を使ってコピー取ってみました。
 

エノコログサ

左から

アキノエノコログサ
エノコログサ
キンエノコロ
オオエノコロ

といいます。

猫じゃらしという語を広辞苑で引いてみると
「穂で猫をじゃらすことからエノコログサの異称」
と書いてありました。

猫じゃらしというのは上の4種の写真の中では正確にはエノコログサしか指さないようです。

これらの、猫じゃらしの仲間は「イネ科:エノコログサ属」という植物のグループに属しています。

イネ科の植物は花がとても小さく、花弁(花びら)もなく、またどれも同じようなかたちをしているので、見分けにくいことで知られるグループです。

これから、みなさんと、簡単にこの4種を区別する方法を考えていきたいと思います。

この4種の中ではエノコログサとアキノエノコログサが一番似ていますよね。

猫じゃらしの仲間は花がたくさん茎の上の方に集まってつくのが特徴です。猫じゃらしのじゃらすところ、毛がついているつぶつぶの1つ1つが花なのです。

また、花の集まっているところ全体をさして花序と呼びます。

エノコログサは...
 

エノコログサ
エノコログサ

というように、花序が比較的短くてピンとしているのがエノコログサです。

そして、アキノエノコログサは...
 

アキノエノコログサ
アキノエノコログサ

このように、花序は長くしかも、曲がっているのがアキノエノコログサと考えて良いでしょう。

遠くから見て花序がだらんと垂れていれば、ほぼ間違いなくアキノエノコログサです。
ピンとしていればエノコログサ。簡単ですね。

ちゃんと調べるためにはルーペを使った検定が必要です。ここで詳細はお話ししませんがここまでわかれば、あとはこの2種を図鑑で調べれば更に確実に同定することができます。
 

キンエノコロ
キンエノコロ

キンエノコロというのは、名前でもわかるように花序の毛が金色ですので、すぐにわかると思います。
 

オオエノコロ

さて、最後にのこったオオエノコロですが、今まで紹介してきた3種は花序が枝分かれしないか、してもごく短いものです。花序は茎に密についています。

ところが、このオオエノコロは花序が枝分かれするのです。
 

オオエノコロ

オオエノコロの花序を垂直方向に縦切りしてみました。例えば赤い矢印のところで枝分かれしています。

花序はピンとしていますので、花序が大きく、花序を調べると花序が特に下の方で枝分かれしているのを確認すればオオエノコロ、と言っていいでしょう。

これで、みなさんも難しい知識や、ルーペが無くても遠くからでもほとんどすべての猫じゃらしの仲間を見分けられると思います。

猫じゃらしはそれこそ、どこでも生えていますから、通勤通学のちょっとした時間にこのコラムを思い出して観察して、同定をしてみるとおもしろいと思います。

しかしアキノエノコログサやオオエノコロが実は猫じゃらしでなかったとしても、ネコはきっと喜んでじゃれてくれるでしょうね。
 
 

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