ビル・ゲイツはレジェンドになれるのか。ピークエンドの法則

人の記憶は超テキトー

人の記憶はテキトーで、あるものを思い出す時に、そのものから受けた平均的な印象よりも、最後に受けた印象に強く影響を受ける傾向がある。

例えば以下の2種類の検査を受けたとする。
 1.痛みが1分間ずっと続く検査
 2.痛みが1分間ずっと続く検査+痛みが弱まってくる10秒の検査

この場合、多くの人は1の検査はすごく嫌な印象として思い出すのだが、2の検査のほうは1の検査ほどでひどくなかったという風に思い出されることが知られている。2のほうが検査の合計時間は長いし、痛みの総量も多いにも関わらずである。

これは実生活にも多く見られる現象だ。
最高のレストランで、素晴らしい食事をしていても、最後のデザートが今一だったり、コーヒーがまずかったりすると、あまり良い印象を残さない。逆に、あまり面白くない映画でも、最後にどんでん返しがあるとか、ハッピーエンドになると良い映画だという印象を受けやすい。

これをピークエンドの法則などと呼ぶ。

ピークエンドの法則とスティーブ・ジョブス

この現象は人の印象にもあてはまる。人気絶頂期に亡くなった、ジェームズ・ディーン、マリリン・モンロー、エルビス・プレスリー、マイケル・ジャクソンがレジェンドになっているのもそのような理由からかもしれない。

そして、我らのスティーブ・ジョブズも例外ではない

彼は生前、同僚を騙したり、暴言を吐いたり、社員を首にしたり、取引相手との契約を一方的にやぶったりと、経営者としての悪い評判もたくさんあったものの、アップルの絶頂期にこの世をさったために彼の評価は高い。

実際にアップルの業績を上げ、iPodやiPhoneをヒットさせた業績は大きなものだが、もし彼が生き続け、仮にアップルが将来衰退していった場合、彼のしたことは変わらないにも関わらず、今ほどの評価を受けるのかわからない。

彼はすでにこの世にいないため想像でしかものが言えないので、実際に生きている人、ジョブズの好敵手として度々に引き合いにだされるビル・ゲイツについて考えてみたい

ビル・ゲイツの功績

彼はジョブズ以上に人類に大きな影響を与えた人物であるはずだ。なんせ、マイクロソフトは世界全体の85%以上のPCのOSメーカーとして君臨しており、ゲイツはその創業者だ。

以前はMacユーザーがマイクロソフトが嫌いだとか、ゲイツが嫌いだと言うような話題を結構口にしたものだが、最近ではめっきりそんなことも言わなくなった。彼がMSから退いたのが主な理由ではあるが、現在PCよりも、iPhoneやiPadのようなモバイルデバイスの存在感が高いからだ(Macのシェアも上り調子だし)。

10年前PCが主流の時代に、もし彼が亡くなっていたら、世間は大騒ぎをしただろう。でも今ならどうだろう。そして10年後ならどうだろう。

彼が人類に与えた影響は大きかったことに変わりがないのだが、亡くなるタイミングで評価がかわるってのは皮肉なことだと思う。今となっては彼がすごい人だったと思い出してもらえても、レジェンドというステータスを得るのは難しいかもしれない。

人の記憶というのは本当にいやらしい。

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