遠藤です。みなさんこんにちは。
東京では、やっと夏らしい天気になってきました。
でも、吹く風はまだ5月の雰囲気。
みなさんは、いかがお過ごしですか?
子供達は過ごしやすい夏休みを楽しんでいることでしょうね。
今回はまず写真から見てみてください。
家の陰や、公園の隅の方など、ちょっと目立たないところに生えている植物で、名前は「ヤツデ」といいます。名前の由来は、写真で見ていただいたように葉が手のひらのような形に切れ込みがあり、8つの指を持つ手、というところから名前が付けられています。
さてさて、みなさん、不思議だと思われましたか?
私たちは植物を見るときに名前を聞くとすっかり安心してしまって植物そのものを観察することを忘れてしまいがちです。
「指が8本の植物だから、ヤツデかぁ。なるほど」
写真を見ても、そして、実際のヤツデを見てもその指の数の秘密にほとんどの人は気がつきません。
それでは私と一緒にヤツデの「指」の数を数えてみましょう。
1,2,3,4,5,6,7,8・・・・・9
ヤツデなのに指は9本ありますね。
この個体だけが特別なのでしょうか?試しに、いろいろなところにあるヤツデの指を数えて、グラフにしてみました。
横軸はヤツデの指の数、縦軸は調べた葉の中での%を示しています。
これを見ると、7と9が多くて、8は少ないということがわかります。
何で8は少ないんでしょうか?それは、葉の葉脈の走り方と関係があるようです。
ヤツデの葉脈は赤で示したような葉の真ん中に大きな主脈が走っており、その左右に均等に葉脈があって、その葉脈がヤツデの指の「骨」となっています。
必ず真ん中に1本「骨」が通っているということは指の数は自動的に「奇数」となるわけです。グラフでも、3,5,7,9,11が2,4,6,8,10よりも多くなっています。
ヤツデの本当の名前の由来はきっと、語呂の良さと、指の数が「多い」ということを言おうして、つけられたのでしょうね。
ヤツデは、何も語ってはくれませんが、私たちがちょっとした関心の心を持つことで、植物たちの聞こえない声を聞くことができるのです。
夏休みをとられて、山や海に出かけることも多いと思いますが、くれぐれも事故には気をつけて楽しいお休みをお過ごしください。