遠藤のモバイルガーデン:クリスマスツリーの規則性を探そう モミの木の数性の観察

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遠藤です。みなさんこんにちは。

街はすっかりクリスマスシーズンとなりましたね。先日銀座に行ったら、ミキモト*1)(真珠のお店ですね)をはじめとして、たくさんのお店にクリスマスツリーが飾られていました。 
 

すてきなクリスマスツリーですね。

私たちの家では、以前、プラスチックで作られたツリーを飾るおうちが多かったのですが、最近の本物志向のブームで、ミキモトほどは大きくなくても、本物のモミの木でツリーを飾る家庭が増えてきているようです。

モミの木のような葉がトゲのように細い植物のグループは「針葉樹」といいます。

今の時期は、1年でもっとも針葉樹を観察できる時期だということができると思います。

針葉樹の観察はなぜ、冬が良いのかというと、針葉樹は冬に葉が落ちない種ばかりなので、ほかの木が葉を落とす冬の方が観察しやすいのです。

先日、針葉樹の観察にこのコラムでも何回かご紹介した八ヶ岳に行って来ました。

いつも夏になると何回も植物採集や、小学校の移動教室の講師として訪れている八ヶ岳ですが、冬の時期に訪れたことはなかったので、冬の八ヶ岳はどんな風だろうと思って見に行ってみると・・・
 

八ヶ岳の針葉樹林

どうですか?ここに見える緑の木は針葉樹ばかりです。

さあ、モミの木を観察してみることにしましょう。
クリスマスツリーを見てみると、枝がきれいに平面的に出ているのを思い出していただけると思います。
どうして、モミの木の枝は平らに成長することができるのでしょうか?

平らに広がっているモミの木の枝の1つを下から見上げるような格好で、写真を撮ってみました。
 

もみの木

モミの木の枝はきれいに平らになっていますね。

どうして、こんな風に平らな枝を作ることができるのでしょうか?

その秘密は枝の先にありました。
 

もみの木

枝の先には3つの芽が横一列に並んでいるのがわかりますね。1と2の芽は左右に伸びて3の芽がまっすぐに伸びることで平面に枝を伸ばしていくことができるのです。もしも、3の芽の上下に芽があったら枝は全体を見たとき平らにはなりませんよね。

以前に枝の年齢を数える方法をお話ししましたが、そのやり方をモミの木にも適用して、このことを確認してみましょう。枝の節に注目して、モミの木がどのような枝分かれをしているか調べてみましょう。
 

もみの木

黄色い枝が1年生の枝、青い枝が2年生の枝、赤い枝が3年生の枝です。
こうやってみると、すべての枝は3つずつに枝分かれしていることがわかります。

このように、すべての枝が3つづつ枝分かれする(すなわち芽が3である)性質を「3数性」といいます。

3数性をとるという仕組みは葉を平らに広げることになり、日光をより効率的に受けるしくみであるといえます。もしも、1つの枝の先端に4つの芽ができる4数性だったら枝は立体的に広がってしまい、下側の芽は日光が当たらずに結局枯れてしまい、無駄になってしまうでしょう。ですから、4数性でもなく、2数性でもなく3数性であるということに意味があるのです。

さて、モミは3数性と言っておいてなんなんですが、例外が1カ所だけあります。どこにあるでしょう。みなさんわかりますか?

3数性は日陰になってしまう枝葉を作らない、無駄を出さない工夫であるといえると思いますが、そうした制約のない唯一の場所があるのです。それはどこでしょうか?
 

もみの木

わかりましたか?正解はモミの木の頂上の枝です。
モミの木の頂上の枝は一番上にありますからどんな風に枝を展開しても光に当たり損なうことはありませんよね。

このモミの場合には頂上の芽は5個あったようですね。モミの枝の先はみな同じ先端にいるのにどうやって自分が頂上にいるのか、脇の枝にいるのかわかるのでしょうね。

クリスマスツリーを街で見かけたら、芽の数、数性に注目して観察して見てみてください。今まで見えてこなかった新しい発見ができると思います。


この1年間モバイルガーデンを読んでいただいてありがとうございます。
また来年も楽しい話ができれば、と思っています。
お風邪など引かないように、楽しい年末、新年を。
そして、メリークリスマス!

*1)
http://www.mikimoto.com/jp/index.html

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