遠藤です。みなさんこんにちは。
知り合いの方が、海に遊びに行って、ビニール袋いっぱいのワカメをおみやげに取ってきてくださいました。
ワカメがそんなそんな簡単にとれるなんて知らなかったのですが、干潮(潮が引いている時間)の時に出かけると、場所によっては簡単にとれるそうです。
生きているワカメってどんな色をしていると思いますか?
ワカメですから、透き通るような黄緑色か、もしくはスーパーで売っている「生わかめ」のちょっと濃い緑色を期待して、ビニール袋をあけました。
すると・・・何か変な色の海藻が入っていました。
ペーパータオルを引いて中から2本引き出して並べてみました。
これは、確かに海藻ですが、ワカメではなくて、小さな「昆布」なのではないかと私は思いました。
急に自分に自信がなくなってきました。そこで、ワカメってどんな色をしているのかについて、事典を調べてみました。
ワカメの項目を調べてみると、ワカメは「褐藻(かっそう)」であると書いてあります。
褐藻、というのは「褐色=やや黒みをおびた茶色」のことです。もう一度ペーパータオルの上の海藻を見ると確かに褐色です。じゃあ、あの黄緑のワカメは?と思って更に事典を読み進めると、「生ワカメを湯にとおすと、黄緑色に発色する」と書いてありました。
早速、生ワカメを煮てみることにしました。どのくらい煮ると黄緑になるのかな?と思い、ストップウオッチを持って沸騰した鍋の前にたったのですが、なんと、入れた瞬間に褐色から私たちの見慣れた黄緑色になりました。
この色の変化は劇的で、とてもおもしろく、何度も何度もちょっとずつワカメをお湯に入れては引き出してみる、ということを繰り返しました。
この左側が「もとの」ワカメで、右側が「お湯にちょっとだけ浸けた」ワカメです。
この褐色から鮮やかな黄緑色の変化はどういうしくみになっているのでしょうか?
褐藻といわれるグループに属する海藻はクロロフィルという色素とフィコキサンチンという色素を持っているそうです。
クロロフィルの色は緑色で熱が加わっても色の変化は少ないのですが、フィコキサンチンはそのままだとオレンジがかった黄色をしており、これが海藻のタンパク質と結合すると赤くなります。そして、この結合が熱を加えると簡単に結合が解けてしまうのです。
以前、紅葉のしくみのところでお話ししました。
色の足し算でいうと海で、生きているわかめの色は
「赤」+「緑」=「褐色」
というようになります。
ところが、熱が加わるとタンパク質との結合が解けてフィコキサンチン本来のオレンジがかった黄色となります。
すなわち
「オレンジがかった黄色」+「緑」=「ワカメ色」(黄緑色)
となるのだそうです。
では、なぜ、ワカメは2つの色素を持つのでしょうか?簡単に説明すると2つの色素を持つと、「黄緑の色素の分」と「赤の色素の分」の2つの光を吸収できるようになります。
海の中は地上に比べて日光があまり届きにくい環境にあるので2つ分の光を吸収することで日光を効率的に使用して光合成を行う工夫をしているのです。
その夜は、おいしいワカメのサラダとおみそ汁を楽しみました。