こんにちは、kyokuchoです。iBook G4、でましたね。PowerBook G4 12インチを直前に買ったものとしては微妙なスペックで・・・
さて、今回のテーマはディズニー・ミュージックについて。ディズニーの曲というと皆さんが真っ先に思い浮かぶのはどの曲でしょうか?「星に願いを」や「美女と野獣」など、名曲ぞろいのディズニー・ミュージックですが、今回はこのような音楽を作り出したあるミュージック・メーカーの兄弟を取り上げてみます。スタジオ専属という、当時としては珍しい契約で迎えられたその兄弟の名は、リチャード・シャーマンとロバート・シャーマン。彼らの名前は知らなくても、煙突掃除屋に扮するバートの歌う「チム・チム・チェリー」や、100エーカーの森を舞台にゆったりとした雰囲気で奏でる「くまのプーさん」の歌を聴いたことがない人はいないでしょう。今回はこのシャーマン兄弟について、彼らの作った2曲から、ウォルトの作り出すディズニー的な世界がどのように作られているのかを綴っていきます。
まず、最初の舞台は1964年に開催されたニューヨーク世界博の準備に追われるディズニースタジオ。ペプシコーラ社がユニセフのためにアトラクションを作りたい、というオファーをディズニー社に持ちかけたところ、既にイリノイ州、GEやフォードのためにアトラクションを作っている最中で全く余裕がないことから、上層部が一度は断るもさらに上層のウォルトが「こういうことは自分が決めるんだ」と激怒。スタッフはわずか1年しか時間が残されていないにもかかわらず、もう一つ作らなければならなくなってしまったのです。このアトラクションの骨子はすぐに決まったのですが、その中心となるのは「歌」、ウォルトはシャーマン兄弟に出した指示は「普遍的で、どんな楽器でも演奏できて、そしてどんな国の言葉でも歌える曲を作ってくれ」。そんな無理難題ともいえるこのお題に対してシャーマン兄弟が出した答えこそ、皆さんもよく知っている「小さな世界(It’s a Small World)」。そう、このペプシコーラのアトラクションは今でも世界のディズニー・テーマパークで動き続けているあのアトラクションなのです。たしかに、一度体験したらあの曲を口ずさめない人はいないでしょう。この曲もウォルトがペプシからのオファーを断っていたら生まれなかったのかと思うと、この人のワガママも間違ってなかったのかもしれません(笑)。
そして、もう一曲は、ジュリー・アンドリュースがすてきなベビーシッターを演じる「メリー・ポピンズ」から「2ペンスを鳩に」という曲。この作品は元々児童向けの本だったのですが、ウォルトの娘、ダイアンがとても好きだったというお話をウォルトが読んで、これは題材にぴったりだと直感して作られた映画なのですが、映画化にあたってミュージカルが一番あっていると考えたウォルトは、曲の作成をシャーマン兄弟に依頼します。このとき作られた曲は「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」、「チム・チム・チェリー」、「お砂糖ひとさじで」などがありますが、その中でもウォルトがいたく気に入ったのがこの「2ペンスを鳩に」。これは劇中、鳩にあげるえさを売るおばあさんのお話をメリー・ポピンズが子守唄として歌うのですが、彼はシャーマン兄弟を自分の部屋に呼び、この曲を自分のために弾いてもらっては涙していたということです。ウォルト曰く「この曲はブラームスの子守唄より全然いい」と・・・最近、ディズニー・ミュージックをいろいろなアーティストがカバーしていますが、私はこの曲が入っていると「あ、このアーティストは分かっているな」と思う訳です(笑)。といっても今のところ先週話題に出したcobaのアルバムくらいしか収録されていないんですけどね(coba版「2ペンスを鳩に」は本当に泣けます)。
このお二人ですが、今でもたまにディズニーの式典などがあると元気な姿を見ることができます。2001年に行われた、ウォルト・ディズニー生誕100周年記念イベントでは、ピアノを前にウォルトとの出来事を話してくれていました。「よく呼ばれて君(もちろんウォルトのこと)のために歌っていたけれど、もう一度君のためだけに歌うよ」と、「2ペンスを鳩に」を歌い、最後にウォルトとミッキーが手をつないでいるパートナーズ像に向かって「Happy Birthday,Walt!」と話しかけていたのが非常に印象的でした。そのときお話しされていた内容もウォルトの考え方がよくわかって非常に興味深いことばかりなのですが、その話はまたいずれ。
では!
(kyokucho/宮田 健)