遠藤のモバイルガーデン:果実の進化 葉から果実へ サクランボの場合

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遠藤です。みなさんこんにちは。

今年は秋と冬の境目がよくわからないうちに、季節が行ったり来たりしているようですね。私の自宅から見える山並みもいつもなら赤や黄色に紅葉するはずですが、今年はまだ、青々としています。

しかし、八百屋さんの店先は「美味しい物の季節」とばかりに、たくさんの果物がならんでいます。ちょっと旬はすぎてしまいましたが、今日は花がどうやって果実になるのかを見てみたいと思います。

このコラムでも以前、「No.56 くだもの・かじつ・たね・しゅし」で、お話ししたように、果実と言っても、八百屋さんでは果物として売られていたり、野菜だったりするのでしたよね。

果実は、種子 *2)とそれを包む心皮 *3)からなりますが、心皮は昔は葉であったと考えられています。すなわち、特殊な葉が種子を包み込んで果実になったのです。

最もシンプルな果実のパタンである種子1つと、心皮1枚のサクランボを例にとって説明しましょう。

サクランボの果実の進化の過程をイラストにしてみました。
イラストレーションはいつものようにあじこさんにお願いいたしました。
 

サクランボの原始的な果実はこのように葉の両端に花 *4)が2つ付く形式だったと思われています。

花が、葉から出るというのはちょっと意外な感じがするかもしれませんが、現世の植物でも葉に花をつけるという植物を見つけることが出きれば「状況証拠」になるはずです。

そんな植物の1つに「ハナイカダ」があります。
 
矢印で示したところが花です、名前の由来は葉を花の「いかだ」に見立てたのでしょうね。

また、サクランボの若い時を見てみるとイラストのように心皮の両端(葉の両端)に種子が付いています。出来上がったサクランボの「天神様」は1つしかありませんが、それは、サクランボの場合、2つの種子のうち、1つが途中で発達を中止してしまうからです。

葉の両端の種子が両方ともちゃんと発達する植物もあります。例えば
 

これはアオギリの果実です。心皮の両端に(葉の両端)に矢印で示した種子が付いています。

アオギリの果実には種子が4つついていますが、種子の個数こそ違う物の上のイラストによく似ていますよね、これも果実の進化の「状況証拠」の1つだと考えられます。

そして、その葉がたたまれて、その時に、種子は葉の内側に入ります。そのあと、心皮が発達して
 

熟すと、みなさんご存じのサクランボになりました。

サクランボの果実が進化してくる過程ではこんな事が起こったのではないかと思います。

次回は種子の数を増やして「サヤインゲン」になるまでの話と、それを更に組み立てて「キウイフルーツ」ができる話をしたいと思います。
 

おみそ汁にサヤインゲンが出てきたり、デザートでキウイフルーツを食べるときがあったらどんな果実の仕組みか見ておいてくださいね。
 

*2)
種子は種子となる前には胚珠と呼ばれますが、2つの用語をここでは使い分けることが難しいため、すべて種子としました。

*3)
心皮は果実になった時には「果皮」といいますが、2つの用語をここでは使い分けることが難しいためすべて心皮としました。

*4)
この場合の「花」は仮想的な器官です。

Special Thanks to あじこさん
 
あじこさんにはイラストの作成に協力してくださいました、私の要求に忍耐強くつきあってくださり、何回も書き直してくださいました。ありがとうございます。
 
 
 

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