kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第49回 アイデア、お断り?

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

ディズニーの日本公式サイト、disney.co.jpにはこんな文章があります。ちょっと引用すると・・・

ディズニーは、お客様からのお便り、そのオンライン・サービスを含めディズニーの製品についてのコメントを歓迎いたします。しかし残念ながら、特にディズニーからお願いしたものではない限り、お客様からの制作アイデア、提案あるいは資料を受け取ったり、考慮したりしない方針をとっています。
(中略)
このようなお願いにもかかわらず、もしお客さまより提案、アイデア、メモ、図面、コンセプトその他の情報(以下、「情報」)が送られた場合、 その情報はディズニーの資産と見なされます。

これを読んでみなさんどう思いますでしょうか?当然、「ディズニーは傲慢だ!」、「ジャイアニズム(意味:おまえのものはオレのもの)とはなんたることか!」とお思いになるでしょう。実はこれ、裏には理由がちゃんとあるのです・・・

フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドには、テーマパーク以外にも様々なディズニーの施設があります。その一つにディズニー・ワイドワールド・オブ・スポーツというスポーツ・コンプレックスがあり、ここではテニスコートやサッカー場など、かなり広大な敷地の中に様々なスポーツ施設が集まる区域になっています。日本でディズニーというとテーマパーク運営業者を連想すると思いますが、アメリカではABC放送を持つ巨大なメディア。特に稼ぎ頭の柱として、ESPNというスポーツ専門チャンネルを持っていますので、これと強力なコラボレーションができる施設となっています(ただ、あまり日本からは観光で訪れる機会はほとんどないかと思いますが・・・)。

事件はここを舞台として始まります。すでにこの施設が運営されている時に、ディズニー社に対して「ディズニーが運営している施設のアイデアを出したのは私だ!無断でそれを具現化したのはゆるさん!」という訴えを起こされてしまったのです。この訴えでは、ディズニーに対してスポーツをテーマにした施設を作ったらどうか、というプレゼンテーションを行ったが、その後ディズニーはそれを不採用としたにも関わらず、持ち込んだ資料とそっくりな施設をディズニーが無断で作った、ということを問題としていたようです。

この騒動の結末は、ディズニー側が相当な金額の和解金を支払うことで2002年に終了しています。つまり、ディズニー側が裁判に持ち込んでも勝てないということを悟ったのか、もしくはイメージ回復(このころテーマパーク業は最悪の状況でした)のためにやむを得ないと考えたのかは調べても詳細までは触れていなかったのですが、このあたりをきっかけとして、ディズニー社の関連サイトには先に引用したような文章がよりわかりやすく記載されるようになっています(以前からも同様の記載はあったんですが、先の引用のように誤解を与える印象だったと記憶しています)。

ここから学び取れることは2つあるかと思っています。1つは、ディズニーのような大きな企業になると、こういうサブマリン特許的な問題に関する諸権利の「危機管理」は本当にしっかりしないといけないということ。これはディズニーだけではなくて、他の大企業のサイトであれば同様の記述がもれなく存在します(ソニーやマイクロソフト、それにAppleだってあります)。ですから、ディズニーだけが特殊なことを書いているわけではないんですね。

でも個人的な印象なんですが、このような対応のまずさ、遅れがディズニーには目立つと思います。一番有名なのはクマのプーさん関連の権利保持者vsディズニー&原作者家族との訴訟。結果的に権利保持者の反則負けという幕切れでディズニー側は辛くも勝利した形ですが、それがなければプーさん関連がディズニーから消えてもおかしくないという、本当に危ない状態だった問題でした。

そしてもう1つは私たちの問題。先の「悪意に満ちあふれた」引用はアンチディズニーな人がそのような形で引用してもおかしくない(そして、嘘は言っていない)方法です。マックメムをごらんの方々はMacについてあまりよくない話を持ち上げられたこともあったのではないかとは思いますが(最近はさすがにないか)、インターネットは普通の人が世界に向けて発信できるメディアで、これをうまく?利用すると「少数の声をあたかも大多数の意見のように見せる」ことが簡単にできるメディアでもあります。これからの時代は、メディアに踊らされることなく自分で判断する能力が一番大事なのかもしれません。このコラムに書いていることも鵜呑みにしたらいけないですよ(笑)

では!

(kyokucho/宮田 健)

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