【愛を読むひと】を観る
この映画のあらすじを書くと大変長くなるので、Wikipediaを参照してください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/愛を読むひと
大変良い話でした。そして考えさせられる映画でした。最初は単純な若い少年と年上の女性ののラブロマンスかなと思っていましたが、重いテーマが隠れていました。
素朴な疑問(ネタバレ注意)
で、今回この【愛を読むひと】について書いて起きたいと思ったのは、見終わった後に素朴な疑問が湧いたためです。
疑問というのは、ナチスに仕えた者が幸せになる映画をつくることはタブーなのか?ということです。
ここからはちょっとネタバレとなります。
素敵な映画なので観ることをおすすめしますので、その予定の方は以下の内容は観てから読んでください。
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エンディングが想像と違ってちょっと哀しい
主人公のマイケルが収容されている刑務所に、ハンナに本の読み聞かせのテープを一生懸命作り送り続ける場面に、ぐっときました。まさに【愛を読むひと】となるわけです。
そしてその愛に応えるように、ハンナは文字の読み書きを学んでいくわけです。そして、マイケルにつたないながら手紙を書くようになります。これも感動的です。
そして服役から20年後、仮出所の時を迎えます。
よしよし、これでマイケルがハンナを引き取り、幸せに暮らすんだな!と勝手に想像したわけです。
が、実際にはマイケルは(色々な葛藤があったと思われますが)渋々ハンナの身元引受人となるものの、彼女のために家や仕事を手配するような事務処理だけで、自分はあまり関わりたくない様子。
それを察してか、ハンナは仮出所直前に自殺をしてしまうわけです。ハンナが自殺のために机に本を平積みして足を乗せた時に、「それだけはやめてくれ〜」と自分は頭を抱えてしまいました。
ハッピーエンドにしてはいけなかったのか?
ハンナはナチスの強制収容所の看守として働いて、自分は直接手を下していないものの結果的に多くのユダヤ人を死に導きました。
そのため戦後の裁判にて無期懲役の判決を受け服役します。
20年間の服役中、彼女なりに罪を償うため、強制収容所で唯一生き残った家族の女性にわずかながらお金を残していました。
しかしそれぐらいのことでは罪が許されないということなのかもしれません。
仮出所直前のハンナは昔の美人だったころの面影は全くなく、どこか精気のない白髪のおばあさんになっていました。その姿だけで十分に罪を償ったのではと思えてなりません。
これは勝手な憶測ですが、もしこれをハッピーエンドにしたら「ナチを賛美するな!」というクレームを避けるために、製作者は忖度したのではないか?と思わないわけには行きませんでした。
だって、テープを必死に送り続けるマイケルの愛に観客を感動させておきながら(いろいろな葛藤があったにしても)出所時にハンナに冷たくするは不自然だろうと思うわけです。
初恋の相手と結ばれるのは変なのか?
アマゾンのレビューに「若いころに出来心でセックスした相手を思い続けるなんてどういう神経しているのか?」というような書き込みがありましたが、マイケルにとっては(肉体関係があったものの)初恋の女性だったと思うわけです。
マイケルは結婚後一度離婚していますが、ハンナを助けられなかったという思いが遠因では?と邪推しています。
また、ハンナは字を読み書きできないことを知られたくないというプライドのために、無期懲役を受けることになるのですが、その点ついて「無期懲役を受けるだけのプライドがあるのなら、自分で最初から字を学んでいたに違いない」というようなレビューがありました。
いやいや、人は自分の欠点を治したいというよりも隠したいというのが本心だと思うのです。もしハンナがそんな前向きな女性だったのなら、この作品のヒロインになっていなかったと思います。小説や映画ってそういう弱さをもった人を描くためのものですから。
そしてそういう女性が愛によって初めてその弱さを克服しようと決断ができるというのも事実だと思うわけです。
まとめ
いろいろな政治的な理由はあるのとはいえ、個人的にはハッピーエンドだったらすごくうれしかったのに、ちょっと残念ではあります。
ただ、【愛を読むひと】良い映画だと思います。是非みてみてください。おすすめです。
アマゾンプライム会員なら2020年12月現在は無料、もし会員でなければ300円で観られます。あとはDVDを購入することも可能です。