遠藤のモバイルガーデン:交渉のすすめ 楽しい損失補填術をさぐる

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遠藤です。みなさんこんにちは。

昔、アルダスという会社にパースエージョンという、マック専用のプレゼンテーションソフトがありました。このソフトがデファクトスタンダードだったので、このソフトを使うためにマックを購入する人もいたほどでした。

今でいうとパワーポイントに相当するソフトですね。
アルダスはページメーカーとともにアドビに買収され今はなくなっています。

何でこんなことを持ち出したのかというと「説得」(パースエージョン)、交渉というものをもっと気軽にやってみると、良いことが多いと最近感じた事件があったからです。

今月1日に私は広島に飛行機で出かけました。朝、7時20分羽田発の飛行機で広島に行き、夜の便でかえって来るという日帰り旅行です。

全日空ANA

3月1日・・そう、この日は「所沢にある国土交通省の飛行機管制システムのトラブル」で、飛行機の発着が麻痺した、ちょうどその日だったのです。

トラブルが起こったのは朝7時頃だったそうなので、ちょうどトラブル真っ最中で私の乗った便は、本来なら1時間半で広島空港まで到着するはずが、出発までに2時間、さらに飛行機のブレーキトラブルで1時間半羽田の機内で待機させられ、結局広島空港につくまでに5時間を要するということになってしまいました。

しかも、帰りになって、広島空港行きのリムジン乗り場にやってくると今日の便は機体の準備ができないために欠航します。という張り紙がしてありました。

さて、あなたならどうしますか?

私はまず、全日空の予約センターに電話をしてみました。
オペレーターの話では

・今回の事故は国土交通省の責任であり、全日空に責任はない。
・帰りの分の航空券は明日の便に振り返ることはできるが、どの便になるかはわからない。
・これ以上の、宿の手配やその料金の負担はすることはできない。

ということでした。

確かに、全日空には責任はないかもしれないなぁ、と思いながらも、少なくとも私には責任はないのに、明日まで広島に滞在しなくてはならなくて、その費用も自己負担とはおかしい・・のようなことを言ってもう一押しすることにしました。

すると、

・往復航空券の払い戻しに応じる

という回答を得ました。

しかし、

・広島空港までお金を取りに来てほしい

ということを言われました。

時計を見ると、30分後に東京行き最終の新幹線・のぞみの発車時間が迫っています。広島空港は、広島駅からリムジンバスで往復2時間。

ここで諦めてはいけないと思い、それは無理なんですけれどとお願いしてみるとしばらく上司と相談されたのか、

・明日か、あさってに羽田空港のカウンターまで来てくれれば払い戻しに応じる

ということにしてくれました。

本当は、新幹線代くらい出してくれても・・・と思ったのですが、のぞみは後30分したら出てしまいますので、交渉はとりあえず最低限の約束をしていただいて、のぞみで帰りました。

さて、次の日友人でやはり1日に九州に出かけて戻ってこれなくなり、新幹線で帰ってきた友人にこの件を聞いてみました。すると彼は

「飛行機代+新幹線代が全額払い戻し。よって、交通費はタダでした。」

とのこと!
私はびっくりしてしまって、どうやって交渉したの?と聞いてみました。

すると彼は

——————

・今回は人災である

・飛行機会社に過失はないかもしれないが、旅客と交通機関という目で見れば
 問題は交通機関側にあるのは明確

・損失は国(国土交通省)或いはNECが負うべきであり、旅客が負う合理性はない

・当時、空港での地上乗務員の対応が不十分

・当時、明日以降の振替も確実でない状態にあり、新幹線が確実な手段であると
 説明を受けた(但し、その場では費用負担について話し合える状況ではなかった)

# 交渉は航空会社に同情しつつ、言うべきことははっきりと

——————

こんなアドバイスをしてくれました。

そこで、もう一度全日空と交渉してみることにしました。

全日空側といろいろお話をして、本来なら往復航空券だけの返金(約1万円)だったのですが、新幹線代の返還(約2万円)には応じてくださいました。そして返還場所も羽田空港ではなくて、もっと近い東京駅、八重洲の事務所で受け付けてくれることになりました。

しかし、全額の返還の要求には

・旅行したのに全額払い戻すなんておかしい、非常識だ

ということで認めてもらえませんでした。

全日空はこの交渉で、友人は全額返還されたと言ったところ「全額返還した人はいない」と言っていましたが、実際の返金の歳に窓口では「当初混乱があり、いろいろ問題のある対応をした」と言っていました。

いろいろありましたが、結局、当初の

「明日の航空便に振り返る」だけから「新幹線代金の返還」へと大幅に良い条件で交渉することができました。

私の要求した条件が非常識であってもそれを判断するのは全日空ではなく私たちの方であり、同じサービスを受けることを主張するのは「常識」で、それを非常識扱いする方がよっぽど「非常識」だと思います。

では、担当者はなんと言えばよかったのでしょうか

「全額払い戻したのは混乱時に起きた当社のミスでした、申し訳ありません。結果的に旅行はできたわけですから、航空運賃の払い戻しか、新幹線代のどちらか高い方を払い戻すことにさせてください」と言えばよかったのです。結局そうなったのですから。

今回の件で思ったのは

1)常識的に損しないくらいの損失補填は可能である。
2)現場の混乱に乗じると交渉を上手にできることもある
3)時間が経ってくると情報が集まってだいたいの交渉の「落としどころ」がわかるようになる。
4)気が重くなったら、適当に交渉をうち切る。

この4点が重要だと思いました。

2)は、私の友人がうまくいった例ですが、3)とは矛盾しています。
2)は交渉の上級者向け、3)は初心者向けで、私たちは3)を心にして、インターネットや、友人の情報を集めて交渉に当たると良いと思います。

4)は交渉していて何で自分はこんなことに貴重な時間を費やすのだろうと思うことがあります。そんなときには交渉をそこまでにするとよいと思います、精神衛生はお金では買えないからです。交渉ごとも楽しくなくなったらやめるようにすると良いでしょう。

私の場合は、私の友人のようにはうまくいきませんでしたが、知らずに交渉していれば、半分しか損失を補填してくれなかったことになります。

さらに、同じ日に旅行をした友人に聞いてみたところ、やはり同じトラブルにあった人がおり、その人はどういう交渉をしたかというと

「払い戻しは受けなくても良いので、3月15日に国内の自由な場所への往復航空券と取り替えてほしい」と言って了承されたそうです。

旅好きにとってはお金が返ってくるよりも、もう1回旅行ができた方が良いのですね。

交渉も人それぞれです。みなさんなら、どのような交渉をしますか?
普通は誰が交渉しても同じ結果になるはずだと思いがちですが、今回のような交渉のやり方によって全然結果の違うことになる例もあるようです。

 
 

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