遠藤のモバイルガーデン: 定点観測のすすめ タイムスリップ観察をしてみよう

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遠藤です。みなさんこんにちは。

このコラムではいままで、植物に代表される自然を観察するとき、深く観察すればするだけ新しい発見が待っているというお話をしてきました。

メールや、実際このコラムをご覧になった方とお会いしたときに「遠藤さんみたいによく植物を観察する時間もないし、私の住んでいるところには植物ってあんまり生えてないんです・・・」というお話をよく聞きました。

今までこのコラムでは、「短い期間に深い観察をする」というお話を中心としてきましたが、今回は長い期間でもちょっとづつ観察することで見えてくることがある、というお話をしたいと思います。

みなさんは、学校や、会社にお勤めの時にだいたい同じ道を通るのではないでしょうか?そうすると、街路樹などを毎日ちらっとは眺めて季節の変わり目をそのような木々から感じられることもあるのではないかと思います。何気なく感じていたそんな季節の変わり方、をもうすこししっかりと観察してみようというのが今回のテーマです。

デジタルカメラを持っている方なら、自分が毎日通う道に生えている「お気に入りの木」を決めてみてください。

そして、その木の中から適当に写真に撮りやすそうな枝を1つ選んで毎週1回で結構ですので、天気のいい日に写真を撮ってみてはどうでしょうか?

これなら、毎週1秒あればいいし、写真を撮っておけば、あとでじっくり観察ができます。

ちょっとページの容量が大きくなりますが、私の観察した例を見てみてくださいね。

これは、庭に生えている「ミツバツツジ」というツツジの仲間の写真です。
実際は毎日のように撮影したのでたくさん写真があるのですが、その中から選んでみました。

みなさんはどんなことがわかりますか?

花が咲いてしまえば、この芽は「花の芽だ」とか、「葉の芽だ」ということが簡単にわかりますが、冬の段階ではわからないことが多いですよね、でも、今回のように同じ枝を撮り続ければ、植物の生長の時間を遡って観察することもできます。

今回の観察だと、赤い矢印の芽が葉芽で、青い矢印の芽が花芽であることがわかります。

さらに、よく観察してみると、赤い矢印の葉芽は二股に分かれた2つの花芽の真ん中に必ず出ることもわかります。

これらのことから、次回、冬になったとき、「この芽は将来花の咲く芽なのか、葉の出る芽なのか?」ということが自信を持って当てることができるようになると思います。

そのほかにもいろいろとわかることがあります。あんまり詳しく解説してもおもしろくありませんので、ヒントだけ出しておきますね。

  1. 写真を撮った日付に注目すると、花芽がふくらみ初めてから花が咲くまでの時間は約一週間と大変短い。
     
  2. 花芽(青い矢印)と、葉芽(赤い矢印)では、発達の時期が異なり、花芽の方が先に展開して花を咲かせる
     
  3. 一つの花芽の中には3つ程度の花が入っている。

まだ、いくつかありますよ。みなさんわかりますか?探してみてくださいね。

デジタルカメラでの撮影をおすすめしたのは、ふつうのカメラで週1枚しか取らないと、24枚取って現像してみたら、あまりいい写真が撮れていない、という時に24週間分がっかりしてしまう、ということもありますが、デジタルカメラなら撮影した写真の中に撮影した日にちが書き込まれるので撮りっぱなしにしてもいつ撮影したかがすぐわかり、あとで整理が簡単だからです。
 
え?もう花は終わっちゃったって?
大丈夫。これから花を咲かせる街路樹もたくさんありますし、葉が展開してゆく様子を撮影するのもおもしろいですよ。
 
私もミツバツツジの葉の展開の様子や、花が咲いたあと、どんな実がなるのかを引き続いて観察していきたいと思っています。
 
普段お忙しい方も通勤や通学のちょっとした時間を使って植物観察を楽しんでほしいと思います。
 
 
 

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