こんにちは、kyokuchoです。
今回は、フィルムメーカーとしてのディズニーの「ライバル」について。kyokuchoが考えるに、ライバルは3社いると思っています。一つはもう少しでライバル、もう一つは拮抗、そしてもう一つはディズニーが追いつかないといけないというクリエーター集団です。まあ、こればっかりは考え方は十人十色なので、あくまでkyokuchoの主観と言うことで。
まず、もう少しでライバルになりそうな集団、ドリームワークスです。
この会社の設立メンバーの一人ジェフリー・カッツェンバーグは元々ディズニーにいた人で、あの「美女と野獣」や「ライオン・キング」をプロデュースした大物。しかし、その後ディズニー側ともめにもめた結果、親友のスティーブン・スピルバーグ、デビット・ゲフィンらと設立したのがこのドリームワークス。この経緯から分かるように、「バグズ・ライフ」とほぼ同時期に「アンツ」を作成したりと、この会社の作る映画はことごとくディズニーを目の敵にしたものが多いです(ちなみにここでは長編アニメだけ取り上げてますが、「マイノリティ・レポート」など普通の実写作は非常によい作品ばかりですよ)。
まだまだだな、という印象だったこの会社、状況が一変したのは2001年。満を持して公開したフルCG作品がディズニーの度肝を抜くことになります。その作品こそ「シュレック」です。主人公は醜いモンスター、お相手はキャメロン・ディアス張り(って声を当ててるのが当人なのですが)の美しい姫様・・・という、自らの出世作美女と野獣のモチーフをそのまま利用し、かつディズニーでは到底出来ない展開の作品を作り上げました。これがもうとんでもなくすばらしい作品。特に、「ディズニー映画?全く興味ないね」という層をターゲットにしているあたりが心憎い。そしてなんとディズニーのために作られたとも言われていたアカデミー長編アニメ賞の創設初回を受賞するという快挙をもたらしました(対抗馬はあの「モンスターズ・インク」でした)。これからが楽しみなフィルムメーカーです。ってその次の「スピリット」は大コケしましたけど。
2番目は言わずとしれたスタジオ・ジブリ。
いまやディズニーと肩を並べるまでに認識されている、すばらしいクリエイター集団です。ディズニーのアーティスト達もジブリの作品が大好きな人が非常に多く、まもなく日本でもDVDが登場する「リロ&スティッチ」でも、作中登場するお店が「Kiki’s Coffee Shop」(←魔女の宅急便の英語名タイトル「Kiki’s Delivery Service」より)だったり、そもそも主人公のリロは宮崎作品に影響を受けて作ったとのことです。
ここの作品はアメリカでの配給をディズニーが受け持っているのですが、根強いファンは「ディズニーは自社作品を売り込みたいがために、アメリカでの配給権を握り「千と千尋の神隠し」を少数の映画館でしか上映しない」と言われておりましたね。そのときディズニー側が持っていた作品が迷作「トレジャー・プラネット」であったことを考えるとディズニー側の分が悪いのは確かですが、アカデミー賞を取った後の拡大公開で期待したほどの成績が残らなかったことを考えると、ディズニーの選択も悪くはなかったのかもしれません。今後どのような作品が出てくるかは分かりませんが、実際のところ宮崎駿監督は大のディズニー嫌いなようですので、今後もディズニー側を困らせるような作品を期待したいと思います。そういう作品の方が絶対に面白いはずですし、ジブリがディズニー色に染まるところなんて見たくないですしね。ちなみに宮崎監督のディズニー嫌いのお話は岡田”オタキング”斗司夫先生の「オタク学入門」、手塚治虫vs宮崎駿で語られてます。このエピソードも非常におもしろいです。
最後に行く前にちょっとおまけの次点をご紹介。これもみなさまにぜひ見て欲しい映画なのですが、短編はよく見るけど長編は意外?と思われるワーナーが制作した「アイアン・ジャイアント」です。これはシンプソンズなどに関わったブラッド・バード監督の作品で、アメリカでの興行成績が悪く日本での公開がなくなるか、という時に日本のファンが集まってこの映画を口コミで広げ、その結果マイカルシネマ限定ながら公開に踏み切ったという、何とも心温まるエピソードのある映画です。内容に関してはあえて何も言いません。DVDが発売されているので、ぜひ、ぜひ見てください。最近のディズニーが忘れてしまったシンプルなアニメーションです。この作品によりディズニーの強大なライバルになるかと思われたのですが、ワーナーはこの作品で長編アニメから手を引きます。で、そのブラッド・バード監督は別のメーカーへと移り、来年の公開予定となる次回作を作っています。彼が今いる場所こそディズニー最大のライバルである・・・・続きは、次回へ。
では!
(kyokucho/宮田 健)