遠藤のモバイルガーデン:太陽とつきあう方法 クズの生き方を観察してみよう

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遠藤です。みなさんこんにちは。

みなさんはクズという植物をご存じですか?

秋の七草の1つで(ほかの6種はおわかりですか?)風邪を引いたときなどに食べる「葛湯」や、漢方薬の「葛根湯」などの原料となる植物です。

クズの葉

名前はご存じなくても上の写真をご覧になれば、多分一度くらいは見たことがあるのではないでしょうか。

クズはツルになるマメ科の植物です。
 

クズの花

花を見ると、インゲン豆や、エンドウ豆と同じかたちをしていて「あ、マメの仲間」とおわかりになる方も多いと思います。

夜になると葉を閉じるのも、マメ科に属するネムノキなどと同じで
 

クズのバンザイ

クズは夜になるとこのように葉をたたんで寝てしまいます。

クズの葉は夜、葉をたたんで寝て、朝、また上の写真のように起きるということが知られています。

私もそれだけだと思っていたのですが、あるとても暑い日にクズを観察してみると...
 

クズは葉が「ばんざい」の格好をしていました。写真を見て、おわかりになるでしょうか?葉が上向きになっていますね。葉が上向きに「ばんざい」の格好になると、光が葉に十分に当たりません。植物は光に当たるために葉があるのに、どうしてわざわざ光に当たる面積を少なくしているのでしょうか?

植物は、光を求めていろいろな工夫をしていることはみなさんご存じだとおもいます。植物が生きてゆくのに必要な主な条件は

光・水・二酸化炭素

が十分にあることが重要です。

この中で、一般的に最も不足しているのは二酸化炭素です。現在の空気中の二酸化炭素濃度は0.03%ほどですが、植物の最適な二酸化炭素濃度は現在の大気の10倍程度高い、0.3%位だといわれています。

この植物にとって「最適な濃度」は植物が大繁茂した地球の太古の大気の組成と同じで、その濃度に植物たちが適応したなごりであると考えられています。

ですから、野菜や、果物の温室栽培でボイラーを炊くのは保温のためというよりはむしろ二酸化炭素濃度を上げるためなのです。

では、光に十分にあたると植物は喜んでいるかというと、植物は一方で水分の蒸発の危機に直面しているのです。

例えばベンケイソウといわれる植物のグループは昼間は葉の裏にある気体の出入り口である気孔を閉じて光合成を行い、強い日差しによって水分の流出を防ぎます。そして夜、気孔を開けて明日の分の二酸化炭素を取り込んでおく工夫をしています。

このように、光が十分ある状況では水分の流出を防ぐ工夫が必要です。

クズは十分な光のが当たる状態にあるので、水分の流出を防ぐために「ばんざい」をしていたのではないでしょうか?これが私の推論です。

光合成の原料の二酸化炭素が薄い状況では光が必要以上にあっても光合成が進むわけではなく、クズにとっては水分の流失危険の方が大きいのだと思います。

クズは町中でもちょっとした空き地などに生えています。通勤、通学の行きと帰りに10秒づつでも観察する時間があれば、クズの葉の太陽とつきあう方法を間近に観察することができると思います。みなさんもクズの葉を観察して、どうして「バンザイ」するのかを考えてみてください。

ちょうど今の時期はクズの花が盛りです。クズの花の香りは大変いい香りなんです。観察のついでに花の香りも楽しんでください。
 

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