kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第12回 従業員/客ではいけない理由

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。先日マックメム代表の猪川さんとお食事をご一緒させていただきまして、とっても濃いマック談義をさせていただきました。毎回ディズニーのことを書いていますが私も根っからのマックファンですので、その辺も少しづつ出していきたいところなのですがさすがにこの2つを結びつけるには強引にならざるを得ませんね(笑)。
 
さて、今回は、今までも何気なく触れていた用語「キャスト」「ゲスト」についてをご紹介しましょう。
 
東京ディズニーランドをはじめとする、世界各地にあるディズニーのテーマパークでは、そこで働く人たちのことを従業員ではなく「キャスト」と呼んでいます。これはウォルト・ディズニーがどのようにパークをとらえていたのかがよくわかる言葉でして、彼はアトラクション一つ一つだけではなく、パーク全体を一つの「ステージ」と呼び、切符売りもポップコーン売りも掃除人もすべてがそのステージで「演じている」ことから、彼らのことをキャストと呼ぶのです。ですので、彼らはパーク内にでることを「オンステージに行く」と表現するんですね。
 
おもしろかったのは、以前フロリダ、ウォルト・ディズニー・ワールドにてバックグラウンド・ツアー(文字どおりオンステージの裏を見せてくれるツアー)に参加したとき、やっぱりオンステージ以外では写真撮影禁止だったんですね。ところが、アメリカ的なオバちゃんが「なんで撮っちゃいけないのぉ。それが楽しみだったのに」とぼやいたんですね。そしたらガイド役のキャストが「僕たちはオンステージ・・みなさんが見ているここをとてもすばらしいところにするために、せいいっぱいの魔法をかけているんだ。ところが、バックステージにはそれがかかっていない。だから、そういうところは恥ずかしくて見せられないんだ。だから、写真は厳禁」といって、オバちゃんを納得させたという場面がありました。キャストの方はその一言を言った後、「・・・って言えって上からは言われてるんだよね」としっかり笑いをとっていましたが(笑)。その後のツアーでも、バックステージをでるキャストの方がドアに付いている「ここから先、オンステージ」という標識をコンコンとノックし、最高の笑顔で「オンステージにいきます!」と言っていたのが非常に印象的でした。

また、それに対して私たち客のことは「ゲスト」と呼んでいます。これについては昔はパークでポップコーンを売っていた経歴を持ち、現在もディズニー社の要職についているディック・ヌニス氏が興味深いことをお話しており、曰く「英語では客を表す言葉として『カスタマー』という言葉がちゃんとある」というんですね。じゃあいったいゲストというのはどのような言葉なのかというと、たとえば何かのパーティーで、自宅に親しい友人に招待状を出して招くとします。奥さんの手料理を出して、家族が精一杯歓待する、そのお客様こそが「ゲスト」だという定義なのだそうです。ディズニーのテーマパークでは、誰もがVIPなのですね。
 
東京ディズニーランドはディズニーにとって初めてのパークのライセンスビジネス(運営会社はオリエンタルランド社になります)だったのですが、オリエンタルランド社の幹部が、計画当初は各部署をどんどん外注化し、スリムな運営を目指していたのですが、このことを知って先のディック・ヌニス氏が「君たちはそういうホームパーティを出前で出して、VIPを歓待したと言えるのかい!」と激怒したというエピソードもあるそうです。ですので、ディズニーのテーマパーク運営は直営で行われているのです。
 
一時期日本でもテーマパークブームが起こって、雨後の竹の子のように遊園地がでてきてはつぶれていきました。「キャスト」「ゲスト」など些細な言葉遊びのようなものかもしれませんが、ディズニーのテーマパークの一人がちになっている状態を省みると、やはりこの些細な言葉に隠された確固たるサービスへの考え方が、本当は重要なのかもしれません。実はこの辺の話を猪川さんに話したところ、「人間が生きるこの世界自体も大きな大きなステージで、自分達は誰かを幸せにするためのキャストなんでしょうね」と一言。あなたは、どんなことを演じますか?
 
では!
(kyokucho/宮田 健)
 
 

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