遠藤です。みなさんこんにちは。
近所の方から「オキザリス」をいただきました。
お店ではオギザリスとか、ハナカタバミなどと呼ばれているようですが、これらは実際の名前ではありません。園芸種なので詳細はわからないのですが、種名としては大きさも色も全然違いますがムラサキカタバミで、これはその園芸種だと思います。
カタバミ科の植物はカタバミなどのように草になるものからスターフルーツのように木になるものまである大きな植物のグループです。
このカタバミは葉が深紅で、花も葉も大きく、カタバミの仲間の観察には最適な植物ですね。
せっかくいただいたので、庭先の目立つところに置いて観察してみました。
朝のオキザリス
昼のオキザリス
夕方のオキザリス
夜のオキザリス
1日連続して観察して、ちょっと変わっているなと思ったのは、昼と、夜に閉じているということです。
そこで、前回チューリップの花の開閉条件を調べた経験を生かしてオキザリスの葉の開閉の原因は何が関係しているのかを考えてみましょう。
主な原因は今回も温度か、光かのどちらかの条件だと考えられますので、光条件と温度条件を分ける観察方法を考える必要があります。
1)まず、葉が開いているオキザリスを開いている時と同じ温度条件で段ボール箱に入れてみました。30分して、あけてみると・・・
閉じていますね。
2)今度は、夜、閉じているオキザリスを窓を開け放って室温と気温とを同じにした家の中に入れて蛍光灯の光を当ててみました。すると・・・
実験前
実験後
左側の光がよりたくさん当たった方が開き始めているのがわかりますか?このように、光が当たると開き始めるようです。
3)それでは、今度は昼にオキザリスが閉じてしまうのはなぜでしょうか?
考えられる要因には次に示すような2つの理由が考えられると思います。
A:温度が高いと葉を閉じる性質がある
B:光が強すぎると葉を閉じる性質がある
どちらがより確からしいかを調べるにはどうしたらいいでしょうか?
光の量を調整することは難しいので、前回のチューリップと同じように、温度を調整してどうなるのかを調べてみました。具体的には光が適度にある部屋で、暖房をつけて温度をどんどん上げるとどうなるかを調べてみました。
温度を上げて葉が閉じなければ、光の影響だといえると思います。さあどうなるでしょうか?
まず、光が適度にあることを証明するために深夜葉が閉じたオキザリスを明るい部屋に移動させます。
すると、30分後には葉が開き始めました。このことからこの部屋は十分な光量があることがわかります。
このあと、部屋に暖房を入れ、28℃から32℃程度に保ち、1時間半おいてみました。この温度は野外で昼間オキザリスが葉を閉じているときの温度です。
このように、1時間以上経った後でも葉は開いたままです。
従って、昼間に葉が閉じてしまうのは主に「光」が強いからであることがわかりました。
今回の結果をまとめてみると
オキザリスは光が弱いと葉を閉じる
オキザリスは光が強いときにも葉を閉じる
ということがわかりました。図にしてみると
このような関係にあるといえると思います。
オレンジの線が1日の光量の変化で光量がある一定以上でも以下でも閉じることを示しています。
前回のチューリップの花の開閉は主に温度が影響していましたが、オキザリスでの葉の開閉は光が影響しているようです。
これは、よく考えれば、花は温度が上がって虫がやってくるときに花を咲かせるのが有利であり、葉は光がある時に葉を広げるのが有利だということも言えると思います。
昼間に葉を閉じてしまうのは光が強すぎ、不必要に葉の水分が奪われてしまうのを防ぐためなのかもしれません。
以前みなさんと一緒にモバイルガーデンでクズの観察をしたことを覚えているでしょうか?
上に閉じるか下に閉じるかの違いはありますが、クズが日中に葉を閉じる原因や理由も今回観察したオキザリスと同じだと考えられます。
今月は植物の運動の中で、光の要因、温度の要因についてお話ししました。
実験のやり方は、チューリップ、オキザリスに関わらず共通ですので、皆さんの身近な植物の運動要因探しに使えるのではないかと思います。ご子息の夏休みの宿題のテーマなどに良いのではないかと思います。
・最後にオキザリスクイズを出して今回のお話を終わりにしたいと思います。
今回ずっと観察に使ってきたオキザリスをこのように葉を1枚だけ外に出して段ボール箱に入れたら箱の中のオキザリスの葉と、外に出ているオキザリスの葉はどうなるでしょうか?
- 外の葉は開いたままで、中の葉は閉じる。
- 外の葉も中の葉も閉じる。
- 外の葉も中の葉も開いたまま。
- 外の葉は閉じて、中の葉は開いたまま。
実験環境は段ボールに入れない場合は開いたままになる光量条件の時とします。
答えは次回のモバイルガーデンで。