kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第68回 夢の連鎖

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

ここ最近、ウォルト・ディズニーの言葉を引用してきましたが、今回も彼の言葉からコラムを書いてみたいと思います。今回の言葉は「The era we are living in today is a dream coming true.」、今日私たちが生きている時代は、夢を叶えるための時代だ、といったところでしょうか。

私が初めてこの言葉を聞いたのは、フロリダに滞在していた時に見たEPCOTのパレード、「タペストリー・オブ・ドリームス」の中の台詞でした。1901年12月5日、シカゴに生まれたビジョナリー、ウォルト・ディズニーの生誕100周年に沸くウォルト・ディズニー・ワールドでの記念行事の1つとして、2002年ころに行われていたパレードでした。他の3パークでも同様に100周年記念パレードが行われていましたが、それぞれのパレードと明らかに異なる点が点ありました。それは、ディズニー・キャラクターがいっさい出てこないこと。

ふつうディズニーのテーマパークというと、みなさんの頭にはミッキーやドナルドなどのキャラクターを想像するのではないかと思います。しかし、このパレードにはいっさいディズニーのキャラクターが出てきません。ここに出てくる唯一のキャラクターは「ドリームシーカー」という3人。このパレードでは、この3人が子供たちの夢を叶えるために行われます。EPCOTというテーマパークでは、一つのラグーンを囲むように各国のパビリオンが並んでいて、そこでは子供たちがお面を描くことが出来るようになっていました。ここで配られる「ドリームテールスター」という短冊のようなものに子供たちは自分の夢を書きます。そしてこのパレードでドリームシーカーの3人が持っている虫取り編みのようなものに、それを入れていくのです。また、多国籍のような無国籍のような印象に残る音楽にのせ、世界各国の言葉で子供たちが「僕は空を飛びたい」「水の中を魚のように泳ぎたい」などという言葉が重なります。

タペストリーで出来たパペット(こちらに写真があります)とドリームシーカーのパレードは非常に長いものなのですが、これがすべて登場しラグーンの3分の2を占めるほどになったときに異変が起きます。今まで多彩な動きを見せていたパペット群とドリームシーカーが立ち止まり、音楽が静かになります。そこで流れるのが、先のウォルト・ディズニーの言葉。ドリームシーカーの紹介でもっともワンダフルなドリーマーとして紹介されるウォルト・ディズニーが、明日の世界を創り出す根元は夢であり、それを実現するのは今なのだと言うことを伝えるのです。私はこの演出に涙しました。このパレードの主役は、他のパークで行われているパレードのような、ミッキー達のようなディズニーキャラクターでも、派手な演出でも、きらびやかなイルミネーションでもありません。主人公は子供たちの「夢」なのです。

ウォルト・ディズニーが創り出す世界は、どれもこれもが夢と魔法の世界でした。大人になってしまうと、これらの世界は甘ったるく、(当然ながら)子供っぽい無責任な世界に見えてしまいます。しかし、このパレードを見て思ったのは、きっと子供の頃にこれを見たとしたら、夢を見ることと、そして夢を叶えるために、実現するために努力することを学ぶきっかけになるんじゃないかと思ったのではないかと思います。そして、大人になった今、「子供たちに夢を見させること」という重要性を教えるにはどうしたらいいのか、と考えたのです。その答えの一つは、ディズニーのテーマパークで毎日行われていることなのではないかな、と思いました。

正直に言ってしまうと、夢だけで食べていくことは出来ません。大人の世界は実に実に厳しいことがいっぱいあります。だけど、きっと子供の頃にいっぱい夢をみることが出来たら、大人になってもその暖かみを思い出すことが出来ると思います。ウォルト・ディズニーが創り出した映画はすべてハッピーエンドだなんてくだらない、と思う人も多いかもしれないけれど、ここにはそういう意図も含まれているんじゃないかと思います。ただこれは「ディズニーだけを見せていればOK」という意味ではありません。あくまでウォルトが目指したのは「ファミリー・エンターテイメント」。一緒に見て、一緒に夢を考えることが大事。

ウォルトはこのようなことも言っています。If you can imagine it, you can create it. そして、以前EPCOTのバックステージツアーで見学した、キャストセンターに張られていた大きなバナーには、そのウォルトの言葉にこんな一文が追加されていました—「and you can do it!」。ウォルトの創り出した夢をみんなに伝えるキャスト達の心意気を感じて、ちょっと暖かくなることが出来た瞬間でした。

では!
(kyokucho/宮田 健)

タイトルとURLをコピーしました