kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第45回 夢と魔法の素

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

先日訪れたウォルト・ディズニー・ワールドにおもしろいものが登場していました。その名は「パル・ミッキー」。お値段はかなり高めですが、なぜか形式は「レンタル」。見た目ははっきり言ってどこにでもあるような、中くらいのミッキーマウス人形。でもこのどこにでもあるような人形が、魔法のかかった場所では人形以上の働きをすることがあるのです。

ディズニーのテーマパークで見ることが出来る「魔法」には、奥深い技術が使われていることがあります。皆さんが次に東京ディズニーランドに行くときに、ぜひ夜行われているエレクトリカル・パレード ドリームライツなどのパレードをよーく「聴いて」みてください。パレードが進むにつれて、目の前にあるパレードのテーマに沿った曲が流れていることが分かるかと思います。これ、きらびやかなパレードのフロート(山車)に見とれてしまうと当たり前のように聞こえますが、いったいどのようにコントロールしているのでしょうか。

ディズニーのテーマパークで行われているパレードでは、音楽は2つのストリームが存在します。1つは、パークに設置されたスピーカーから流れるアンダーライナー。スピーカーは巧妙に隠されているので、ほとんど気づくことはないと思いますが、パレードルートにほぼ等間隔で存在しています。ウォルト・ディズニー・ワールドのバックステージを紹介するツアーに参加したときに説明していただいたのですが、アンダーライナーを流すスピーカーは建物の2階部分の窓にもあって、パレードの時間になると自動的に開閉するようになっており、パレード以外の時には見えなくなるような仕掛けにしてあるそうです。そしてもう一つのストリームは、フロート自体から流れるテーマ曲。この二つが合わさったものが、私たちに聞こえてくる曲になります(以前行われていたディズニー・ファンティリュージョン!のCDでは、このアンダーライナーだけを収録していました。なんてマニアックな。)。

問題は、その二つをどのように同期をとっているのか。これはパレードルート自体に秘密が隠されています。パレードルートにはやはり一定間隔に場所を示す小さなコイルが埋め込まれており、フロートはそれをセンサーで検知し、今自分がどこにいるのかを判断します。そして、自分のいる場所とアンダーライナーが流れるスピーカーの位置を計算し、音の伝搬速度も考慮に入れた状態の音を自身から発する、という仕組みで音楽が作成されているのです。最初にこの仕組みを聞いたときにはそれだけのこと?と思ってしまいましたが、これは相当な技術力がないと実現が不可能なものなのだそうです。

で、このあたりの技術力をつぎ込んでいると思われるのが、最初に触れた「パル・ミッキー」。これ、箱には「press my tummy!」(おなかを押してね)と書いてあり、その通りにミッキーのおなかを押すととにかくよくしゃべる。自己紹介したりジョークを言ったり。これだけだったらありきたりなのですが、このパル・ミッキーをウォルト・ディズニー・ワールドに持ち歩くと、なんとその場所の見所などをしゃべってくれるという仕組みになっているのです。さらに、キャラクターが近づくと、そのキャラクターとも会話するというイベントも。これも上記のようなセンサーが各地に埋め込まれており、それにあわせたセリフを用意しているのでしょう。今回の旅行でもこのパル・ミッキーを持っている人が本当に目立ちました(ちなみにこのパル・ミッキー、レンタル形式をとっていますがおみやげとしてそのまま持ち帰っても構いません。$60程度の保証金=パル・ミッキーの代金と言うことですね)。

以前、ディズニーのテーマパークで今後行われるだろうということをインタビューで答えていた記事があったのですが、今後はゲストが持ち込まなくても済むようになるものとして、カメラやビデオが挙げられるだろう、ということを言っていました。これは、パーク内でのフォトスポットとなる部分にあらかじめ(これまた巧妙に隠された)カメラが用意され、ゲストはポーズをとるだけでいい、ということも考えているのだそうです。あとは帰り際に写真を受け取るだけ。今もパークでは一部のアトラクションで、クライマックスに写真を撮ってすぐに販売してくれたり、フォトスポットに専属のカメラマンがいて写真を撮ってそれを後で受け取ることが出来るなどのサービスをしていますが、今後はひょっとしたら知らず知らずのうちに写真が撮られていて、帰りにゲートをくぐると自分の写っている写真がアルバムになっていて・・・とまでなってしまうかも。これはもう魔法というか、ストーカーですね(苦笑)。「充分に発達したテクノロジは魔法と区別がつかない」(A.C.クラーク)という言葉を思い出さずにいられません。

では!

(kyokucho/宮田 健)

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