kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第70回 音楽に歴史有り

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

Mac好きは音楽好き、とりわけテクノ系なシンセサイザー的音楽が好きなんじゃないかと思っています。私の周りのMacユーザがそうなだけなのかもしれませんが、元々音楽系に強いマシンだったこともきっと関係するのでしょう。YMOに影響された世代と言うこともあるでしょうが。今回は、そんなシンセサイザーによる音楽について。大丈夫、ディズニーとしっかり関係があります。

職場の同僚には、私のディズニーホリックぶりは知れ渡ってしまっています。そうすると何がうれしいかというと、いろいろなモノや情報が自動的に集まって来るということ。ある日、同僚から1枚のCDをプレゼントしてもらいました。それを手渡されたときに一言、「いやー、kyokuchoならこれ知ってるとは思いますがぜひ聞いてみてください。1曲反応するのがあると思います」とのこと。そのCDとは、「Best of moog」。

はて、Moog?そんなアーティスト聞いたことがないな、と思ったら、どうやらこのMoogというのはシンセサイザーの基礎を作り出したモーグ博士が作った会社/製品の名前。ということで、このCDはいろいろなアーティストがMoogをつかった、60〜70年代のシンセサイザー・ミュージックを集めたベスト盤のようでした。確かに聞いてみると1曲目から実に懐かしい「Popcorn」が。世間的には電気グルーヴのアレンジが出てくるようですが。私としてはやはり駄菓子屋に置いてあったセガのアーケードゲームが思い出されます。はて、そうだとするとなぜこれが「kyokuchoが反応」するアルバムなのだろう・・・と思っていると、確かに反応する曲が1曲ありました。

その曲は、ディズニーを知らない人でも確実に聞いたことのあるシンセサイザー・ミュージックでした。夜になるとパークに流れる曲です。いろんなアーティストがサンプリングやアレンジをし、まさに定番とも言える、ディズニーを代表する曲。最近では小西康陽も1枚アルバム出したくらいという内容なのですが、それだけに元々シンセサイザー・ミュージックなのにシンセサイザーでアレンジ?ほかのバージョンの方がおもしろい扱いしてたのに、一体、どういう意味合いでこのCDをプレゼントしてくれたのだろう、と思ったらしっかりと意味がありました。

まずこの曲、ライナーによると作曲者はPERREY & KINGSLEYという方々。先のPopcornもこの方々の作品で、シンセサイザー・ミュージックの始祖とも言うべき大御所中の大御所なのだそうです。このクレジットを見たあとはっと気が付いて、今度はディズニー版のCDの「作曲者」を見たら、なんとそちらにも同じお二方の名前が載っているではありませんか。アレンジだと思っていたその曲こそオリジナルで、いままで聴いていた、聞き慣れたあのサウンドこそがアレンジだったということにやっと気が付きました。そう、その曲こそ、「バロック・ホゥダウン」。耳慣れた言い方をすると「メインストリート・エレクトリカル・パレード」の主旋律だったのです。

PERREY & KINGSLEY版バロック・ホゥダウンは、Popcorn同様元々シンセサイザーの発展をねらって作った実験音楽だったようで、この曲自体は2枚目のアルバム”Kaleidoscopic Vibrations”に収録されていたとのことです。実に発表は1960年代。その時代には、あのポップな音楽ができあがっていたということに驚きました。その後、版権をディズニーが取得、夜を彩る光と音のページェントを引き立てるどころか、ディズニーランドと言えばこの曲、とまで発展した、素晴らしい音楽です。

メインストリート・エレクトリカル・パレード自体もかなり古くから存在している、ディズニー・テーマパークを代表するパレードなのですが、いま聴いても全く古さを感じない、大変完成度の高い音楽だと思います。そしていまでも、東京ディズニーランドでは「東京ディズニーランド・エレクトリカル・パレード ドリームライツ」として開催されておりますが、アレンジはほんの少ししか入ってません。1960年代に作られた曲が、いまだに通用するのは驚きですね。また、先に取り上げた小西康陽をはじめとするReadymade RecordsのDJ群が作った「DJ Digs Main Street Electrical Parade」などはこの楽曲がアーティストに受け入れられていることを表したいい作品だと思いました(余談ですが、このアルバムは「バロック・ホゥダウン」のアレンジを行ったのではなく、「メインストリート・エレクトリカル・パレード」をアレンジしたと言う点で実に興味深いアルバムです。考えてみると、いままでのアレンジはほぼ全てMoog版バロック・ホゥダウンのアレンジだっただけに、途中に出てくるアリス等のセクション毎までもアレンジした小西康陽版は世界に誇れます)。

今回のお話は、音楽系にちょっとでも手を染めた人にとっては常識なのかもしれませんが、私にとっては本当に知的好奇心が揺さぶられる内容でした。そんなプレゼントをくれた同僚に感謝しつつ・・

では!
(kyokucho/宮田 健)

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