前回「多くのPCユーザーは、PCが好きだから・Macが嫌いだから乗り換えないということではない」で説明をした以外にも、いろいろとPCユーザーが簡単にMacに乗り換えられない理由はあると思う。例えば、その1つがサンクコスト(埋没費用)効果ではないかと踏んでいる。サンクコスト(埋没費用)効果とは、過去に投資した費用や時間に固執してしまう心理のことである。
その昔コンコルドという超音速旅客機の開発で、開発費用が想像以上にかかり完成したとしても採算が会わないとわかっていながら、最後まで開発して案の定大損をしたという有名な話がある。途中でやめておけば傷が浅かったのに、「ここまで大金を投資しておいて途中でやめるわけにはいかない」とさらに投資して、もっと傷を深くしてしまったケースだ。日本では民主党が与党にになってからもめている八ッ場ダムの開発についても同じようなことが言える。
自分でも最近同じような経験をした。
自分は時々大切な仕事をど忘れしていて大変な目にあうことがある(苦笑)のだが、これはTo Do管理が悪いからに違いないと考えて、iCalでTo Do管理をはじめた。しかしiCalはスケジュールにはよくてもTo Do管理はやや貧弱と感じ、新たにTo Do管理アプリを探した。
そして、色々と吟味した結果、「Things」というアプリを購入することにした。OSX版5460円、iPhone用アプリ850円。これでMacとiPhoneで同期しながらTo Do管理をすることが出来る。
ところが、思ったよりも「Things」への入力が面倒だったり、完了したTo Doのチェックを入れ忘れたり、「Things」自体を開くことを忘れたり(苦笑)してなかなか使いこなさせない。でも5460円+850円を投資したのに「今更使わないわけにはいかない」と使いづらくても無理して使い続けた。結局1ヶ月後に挫折。性にあわないと気づいた時にやめておけばストレスもなく、その後の時間も無駄にせずに済んだのにである。
そして、さらに「Things」は使わないとわかっていながらも今でも削除出来ない。すきあらば再度使ってやろうと思う心さえある(苦笑)。使わないのならリソースのムダなので削除すべきなのに、そうは簡単に諦められないのが人の常である。
こういうようなサンクコスト効果を反面教師にして「戻ってこない過去の投資に固執して将来を考えてはダメ」ということを学ぶべきなのだ。
さて、PCユーザがMacに乗り換えられない理由にはこのサンクコスト効果もかなり効いているのではないか。PC歴が長ければ長いほど「ここまで多大なお金と(メンテナンス)時間を投資してきたのに今更Macなんて使えるか」と思うはずだ。でも、戻ってこない過去の投資に固執してさらに大切な時間とお金を浪費するよりも、素直になってMacを試してみるという姿勢は大切だと思うのだ。(ただ、もしWindows 8がはるかにOSXを凌ぐ使い勝手である場合、自分が素直にPCに乗り換えるかというと、そんなわけないだろうなーとは思うのではあるが(苦笑)。)
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