携帯の乗り換えプロモーションの過激さ
携帯の乗り換えのプロモーションがあちこちで行われている。
auやdocomoからSoftbankに乗り換えると最高X万円の商品券がもらえるとか、ADSLから光に乗り換えるのに工賃が無料とか、プロバイダーを乗り換えるとXヶ月無料というようなものだ。
人は変わることが嫌いで、現在のままでいたいと考える生き物
人は変わることが嫌いで、現在(デフォルト)のままで生きていたいと考える生き物だ。
それは現状から変化して得るメリットよりも、現状から受ける恩恵を失うデメリットを嫌うためだ。以前「Macを感じる感覚は意外とテキトーって知っています?」で人はデメリットよりも、メリットが2~2.5倍であってはじめて吊り合うように感じると説明した。変化後よりも現状を良いと過剰に評価する感覚を「現状維持バイアス」と呼んだりする。
臓器移植のドナーが少ない国と多い国の違い
有名なのは交通事故で死亡した場合の臓器移植の話。運転免許にドナーになっても良い場合は意思表示をするというシステム(日本のシステムはこれ)の国ではドナーになってくれる人は少ないが、ドナーになるのがデフォルトで、ドナーになるのが嫌な場合は意思表示をするというシステムの国では大変高い率でドナーになってくれる、というもの。
携帯なんて現状のままで十分
生きる死ぬという深刻な話でさえ、「現状維持バイアス」が強く影響しているので、携帯やネットやプロバイダーという乗り換えても乗り換えなくても自分の人生に大きなインパクトを与えないような話であればさらに強く影響するのは当然と言える。
でも、企業はシェアを広げることが死活問題なので必死である。
現状維持バイアスvs高額なオファー
そこで、ユーザーに乗り換えるとこんなに大きなメリットがあるということをアピールするために、高額な商品券を提供したりする。「え!そんなにくれるの!」とユーザーが驚くぐらいでないと乗り換えたいという動機にならないからだ(ここらへんは個人的にSoftbankは巧妙だと感じる。たぶん携帯事業に後から参入した企業としての正統な戦略なのだと思う)。
ユーザーからすると数万円の商品券はすごくインパクトがあるが、企業とすれば月に5000円程度支払ってもらえるような契約なら数カ月でもとがとれる。そして、一度乗り換えてもらえれば、今後よほどのことが無い限り「現状維持バイアス」で、契約を続けてくれることが予想できるので、長い目でみれば企業側は痛くないということになる。
この制度をうまく利用して、乗り換えジプシーのようなことが可能かなと思ったりもする。ただそういうことを調べている暇があれば仕事をしていたほうが賢いようにも思うのだがw。
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