PB2400cの展示で大失態
日本IBMから特別なPowerBook 2400cを借りることが出来、意気揚々とMacworld東京の会場である幕張メッセに乗り込みました。
PowerBook 2400cをNewerのブースのメインに据えて、多くの人に実際にPB2400でG3が動作している見てもらえるように配置しました。
そして、あとは代理店の方におまかせして、自分はその場は離れました。
インターウエアのブースをチェックしたり、他のメーカーのブースをめぐり何か仕事に役立ちそうな情報はないか会場を歩き回っていました。また、代理店の方との打ち合わせがあったため、会場を離れ、その日は幕張メッセに戻ることはありませんでした。
日本IBMから至急電話をするように連絡が
代理店と打ち合わせを終え、夕食を食べた後ホテルに戻ると、至急電話をかけて来てほしいという日本IBMの開発責任者からのメモがありました。慌てて電話をすると、
「大変なことになりました。お貸し出ししたPowerBook 2400cのROMがインターネット上で公開されています。」
指定されたページを見てみると、PowerBook 2400cのROMのバージョンが記されたスクリーンの写真が公開されているではありませんか。自分の顔から一気に血の気が引きました。
「あれほど取り扱いに注意するように頼んだではないですか!」言葉は丁寧ですがかなり怒気を含んでいるのがわかります。
「本当にすみません。」とにかく謝るしかない自分。
「なんでこんなことが起きたんですか。」日本IBMのマネージャーが尋ねます。
「盗難防止のケーブルをつけてロックしてあったのですが、ユーザーの手が届くところに展示していたので、誰かが本体を操作してROMのバージョンを表示させてしまったのだと思います。」と、自分が答えました。
明日はユーザーの手に触れさせないように、ショウケースの中に入れて展示する対策案を話し、対策についてはそれで結構ですと、日本IBMのマネージャーよりOKを頂きました。
「それから可能かどうかわかりませんが、この情報を公開している人に取り下げるようにNewer側からお願いしていただけますか。」と日本IBMのマネージャーから問われ、「わかりました。至急依頼します。」と即答しました。
その後再び、2400cの取り扱いは本当に注意してくださいと念を押され、どうもすみませんでしたと自分はくりかえし謝り、電話を切りました。
ROMの情報をHPから削除してもらう
ROMの情報を掲示していたのは、PowerBook 2400を專門に取り扱っているサイトでした。幸いオーナーはフリーのライターさんで私の知り合いでした。メールを送り、ROMの掲載されている写真だけを取り下げてもらうことが出来ました。
このROMの件は、すばやく対応したせいか、幸いアップルに知られずに済んだようで、日本IBMが訴えられるようなことはなくほっとしました。
G3が動作するPB2400cの展示は思惑どおり大反響
このような初日にトラブルを起こしてしまったものの、多くのPowerBookユーザーがNewerのブースを訪れてくれました。
自分の思惑どおり実際にG3が動作するPowerBook 2400を見たユーザーはかなり興奮していました。発売された絶対に買います!と言ってくれるユーザーの方が多かったです。本当にユーザーの期待の高さを肌で感じました
そして、Macworldが終了した後にも、多くのPowerBookユーザーのサイトでNewerのG3カードについて取り上げて下さり、大きな話題となりました。
そして、1998年夏。ついにNUpowr G3 for 2400が完成して納品となりました。
第6話に続く。