ブザービーターの裏にある原因
最後のブザーがなった時点で得点をゲットしてで逆転勝利するブザービーターのはビジュアル的にかっこいいので取り上げられることが多いのですが、ほとんどの場合防げることが多いのです。
こういう核心部分を取り上げない限り、バスケットボールの本当の面白さを知ることが出来ないと思います。
日本人の野球リテラシーはすばらしい
日本では戦前からプロ野球があり、長い歴史の中でファンも選手も戦略に詳しくなりました。
野球漫画、とくにドカベンは細かいルールや戦略、心理戦について、多くの野球選手やファンに大きな影響を与えたと思います。
例えば、9回裏1アウト2塁の場面。この状況で次の打者に真っ向勝負する必要がないことをほとんどの人が知っています。
この場合、戦略として敬遠をして1塁を埋めて、その次の打者と勝負。フォースプレーやダブルプレーを狙うのがセオリーでしょう。
そのような駆け引きがあるから野球の見応えがあるのであって、セオリーを無視してばか正直に打者と投手が投げたり打ったりしていたら面白みが半減してしまいます。
こういうことが常識になっている日本人の野球リテラシーは相当高いと言えます。
ところがバスケットボールになると、戦略とかセオリーというのが全くわかっていないなと感じることが多く、一生懸命やることがすべてという風潮があります。
これは日本においてバスケットボールのプロの歴史が浅いことや、ファンには怒られるかもしれませんが、スラムダンクのようにかっこいいだけのバスケ漫画しかなく、ドカベンのような戦略を読み解く漫画がないことが一因だと言うこともできます。
ブザービーターの原因
例えばこの試合、残り約10秒で、ショットクロックが9秒です。安城学園が1点をリードしている状態で安城学園ボールです。
この場合、安城学園は攻める必要は全くありません。残りの時間を使い切れば勝ちなのですから。なので、5人は何をするかと言うと、全員がコートの中央部に集まってボールを保持するだけでいいわけです。
成徳大学はボールを奪うためにプレスをかけて来ますが、安城学園はただただボールを抱えていればOKです。パスなんかするからカットされてターンオーバーされてしまうわけです。
バスケットボールにはボールを持ってから5秒でドリブルかパスをしないといけないルールがあるのですが、残り10秒であればボールを持っている選手の隣に仲間が来て、ボールを1度だけ手渡しすれば5秒ルール2回でゲームオーバーとなります。
残り時間が10秒でショットクロックが9秒なのだから、シュートしないと相手ボールになりそうですが、シュートする必要はありません。ショットクロックがラスト1秒ぐらいになったら、ボールを天井めがけて思い切り放り投げれば落ちてくるまでに試合時間が終わります。
ただ、安城学園がこのような戦略をすれば、成徳大学はわざとファールをして時間をとめます。安城学園に1&1のフリースローを与えてミスしてもらうことを待ちます。仮にフリースローが2本とも決まったとしても3点差ですから、成徳大学は3点ショットを打てるチャンスを得ることが出来ます。
ただ、安城学園は成徳大学に3点シュートをさせないようにファール覚悟の強いプレスをかけることが出来ます。仮にファールになっても成徳大学は2本のフリースローしか打てず、安城学園にかなり有利となります。
米国では、このようにバスケットボールの最後の1分ぐらいは、ファールとフリースローの応酬となるのが常で、パスしたりドリブルしたりすることはほとんどありません。
1試合目はブザービーターを防げるケース
最初のゲーム。誠英が同点でフリースローを得ます。1本決まって1点リードします。そして次のフリースローが決まって2点リードとなります。
このケースはフリースロー後なので時間は止まったままです。時間がスタートするのは選手がボールに触れたあとなので、徳山の選手がパスを受けたあと残り0.9秒でシュートを打ってブザービーターとなりました。
でも、このゲームをブザービーターにしてしまったのは誠英のミスです。
1本フリースローが決まってリードしたのだから、2本目はわざとはずすべきでした。
ボールがリングに当たれば試合継続なので、落ちてきたボールを徳山の選手が取ると思うのですが、落ちてくるボールを取ってから0.9秒ではシュートは打てません(パスを受けてからだと0.9秒でもシュートは打てるが)。よってブザービーターにはなりません。
2つ目のゲーム。このブザービーターは百道にとってはアンラッキーなもので、防ぎようがありません。2本ともフリースローを入れないと逆転にならないわけなので2本とも決めた選手に罪はありません。
残り2秒でプレスをしたらファールをとられる可能性があり、その場合は相手のフリースローとなり得点を許す可能性があるわけなので何もしなくて正解だと思います。
最後のシュートは自分で打つべき
以下のゲーム、湖南(島根)が3点シュートを決めてブザービーターとなった試合です。
このゲームでは、残り20秒で同点の状況。すでにショットクロックも消えており、白チームが最後のシュートができる状況でした。しかし、白チームが残り7秒でシュートを決めてしまったせいで相手ボールとなり、そこからブザービーターが生まれました。
この場合、白チームはできる限りゲーム終了間際までシュートを引き伸ばすべきです。そうすることで白チームが勝つチャンスが生まれるわけです。
黒チームがプレスをかけて来て白チームがシュートができなくなる可能性?
それはあります。しかしこの場合黒チームがファールをとられる可能性があるので、あまり激しいプレスは出来ません。激しいプレスをされたなら白チームはわざとファールをもらうようにしても良いでしょう。
黒チームのプレスの結果、仮に白チームがシュートが出来なかったとしても同点でオーバータイムになるだけです。白チームがシュートを早めに打ってしまった結果、黒チームに最後の3点シュートを打たせることになり逆転負けするより断然ましです。
まとめ
バスケットボールのように試合時間があるゲームというのは、最後の1分が一番おもしろい部分です。
この1分を賢くやれるようになれば、日本のバスケットボールも面白くなると思うのですが、多くの人がその面白さに気づくにはまだまだ時間がかかりそうです。