お古のMacと購入したMacの満足度

さて、春。新入学・新学期ということで、Macを新しく使い始める人がいるかもしれない。
 
で、Macを使い始めるユーザーには2タイプいると思う。
1.新しくMacを購入して使い始めるユーザー(以降新Mac購入ユーザーと呼ぶ)
2.お古(おさがり)のMacを譲り受けて使い始めるユーザー(以降お古Macユーザーと呼ぶ)
である。
 
で、この2タイプで、満足度に異なる結果が現われることをご存知だろうか。「新Mac購入ユーザーのほうが満足度が高いに決まっている!」と思うかもしれないが、単純にそうとも言えない研究結果がある。
 
Mac使用開始当初は新Mac購入ユーザーの満足度は高いのだが、後々になって大きく低下する傾向がある。自分では色々と吟味して機種を選択したけれど、別のモデルにしておけば良かったという思いがやって来るためだ。
 
例えば、持ち運びが一番簡単なMacBookという観点でMacBook Airを購入したとする。しかし使っているうちにHDの空き容量が少なってきて、容量の大きいMacBook Proにしておけば良かったという風に思いがちだ。でもHDの容量重視でMacBook Proを購入してしまうと、日々持ち歩くのが重たくて、軽いMacBook Airにしておけば良かったというような気持ちが出てくるものだ。
 
つまり、1台のMacで全ての目的を満たせるようには出来ていないので、購入当初の目的(日々持ち運ぶので軽いもの等)が達成されてしまうと、その点から来る満足度が鈍化してしまうので不満なところに目が行くことになる。その不満は「自分の選択が正しくなかったことが原因」という「後悔の念」を生み、満足度を下げてしまうのだ。
 
一方、お古のMacを与えられて使い始める場合、使い始め当初は新Mac購入ユーザーほどには満足度は高くない。そして、使い続けているうちにお古Macユーザーも満足度が鈍化してきて不満点も出てくるが、そこで「後悔の念」は生まれない。なぜなら自分で機種を選んだわけではなく、与えれたものを使っているためだ。よって、「後悔の念」がもたらす満足度の低下が起きない(逆に微妙に上がる傾向がある)のだ。
 
1980・1990年代のMacというのは高額だったため、自分の予算に収まるMacはおのずと1種類に決まってしまった。よって、購入したものを迷いなく使い続けることが出来、結果、幸せなMac生活につながった。
 
一方で現在ではMacが安価になり、色々なモデルを選択出来るようになった。一見すると選択肢が増えて幸せになったように思うだが、実際には選択によって「後悔の念」が発生しやすく、満足度が低下してしまう傾向がある。
 
昔のMacは高価でマシンパワーは劣っていたにも関わらず、今よりも幸せなMacな生活だったと思えるのはこのへんの感覚のなせる技なのかなと思う。
 
続きの「PCは色々と選べるけど、Macって選択肢が少ないのでかわいそじゃね?」のうそはこちら。

参考文献:シーナ・アイエンガー著 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)


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