kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第47回 ディズニーの「短編」が見たい

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

皆さんはディズニーの短編作品を見たことがあるでしょうか?これ、レンタルビデオコーナーでも「子供向け」にカテゴライズされていると思うので、お子さんがいない限りなかなか見るチャンスがないですよね。

東京ディズニーランドには昔、ワールド・バザールに「メインストリート・シネマ」という施設がありました。そのアトラクションとも呼べない小さな部屋には6つのスクリーンがあり、ミッキーマウスのデビュー作「プレーン・クレイジー」を含むモノクロ、サイレントの短編がエンドレスで上映されていました。目立たない施設だったため人はほとんどおらず、その結果か数年前にその場所は物販施設になってしまいました。実は私、ここものすごく好きだったのでかなり悲しかった記憶が・・・数少ないディズニーの短編が見られる場所だっただけに。

そんな肩身の狭い思いをしていたディズニーの短編ですが、なかなか興味深いDVDが登場しました。Walt Disney Treasuresと題されたシリーズで、これにはミッキーなどディズニーキャラクターの貴重な短編が収められた2枚組のDVDとしてリリースされています。アメリカではこのシリーズが2001年からほぼ毎年発売されており、計11本の壮大なシリーズになっています。このシリーズ、正直私のようなマニアにはたまらない内容で(笑)、ウォルト・ディズニーがロスのDisneylandを作る資金を得るためにABC放送に提供していたTVシリーズを収録していたり、モノクロ時代のミッキーマウスの短編を全て収録していたりととんでもなく貴重な内容。

そのあまりにあまりなターゲットの狭さに日本では発売されないだろうと思っていたそのシリーズが、数量限定ながら日本でも一部発売が決定され、ディズニーファン界ではこの予約争奪戦に翻弄されています。日本ではこのような収録内容で引っかかるようなファン層はあまりいないということが分かっているのか、売れ筋になるだろうと思われる「ミッキーマウス/カラー・エピソード Vol.1」が1万本、「ドナルドダック・クロニクル Vol.1」に至っては5000本の限定となっています。実は私、この数でもミッキーの方は余るんじゃないかと思ってました。うちのサイトはアマゾンのアソシエイトもやってましたんで、この予約が始まった頃に自分のサイトでも紹介したんですが、本当に数日で予約終了してしまったようで、いろいろなサイトを見ていても「予約できなかった」という方が多く、意外にマニアが多いんだなあ、と感心してしまいました(笑)。

で、このフィーバーをみて、すでに購入していたUS版のDVDをやっと開封してみました。目的は前回ちょっとだけ触れたミッキーマウスの最新の出演作「Runaway Brain」(これは日本版の「ミッキーマウス・カラーエピソードVol.2」に収録されています)。私自身も久々にみてみましたが、本当におもしろいです。少なくとも最近の長編アニメーションとは比較にならないくらいストーリーも考えられていますし、短い中にミッキーマウスの性格がよく現れているし、なにより古風な「ギャグ」のエッセンスがしっかりと現代によみがえっている点がすばらしいです。

この作品、エンドクレジットをみるとわかるのですが、パリのディズニースタジオで作られた作品となっています。このころはディズニーのスタジオがパリやフロリダ、そして日本にもあり、各地でディズニーの作品が制作されていましたが、今ではどんどん閉鎖されてしまっています。ディズニーアニメーションの原点はご存じのように短編アニメーション。短編作品からスターアニメーターがたくさん登場しています。今は短編としてではなく、TVシリーズなどをたくさん作っているディズニーですが、劇場公開をターゲットとした短編を作ることを忘れてしまっているようでちょっと悲しいです。

その昔、ウォルトはストーリーを考えるスタッフに対して、すばらしいギャグが浮かんだらいくらかのボーナスをその場で配る、というような方法で、いかにおもしろい作品を作るかを競わせたという逸話があります。名作「美女と野獣」みたいに感動させて泣かせる作品づくりも大事ですが、笑って楽しめる短編もいっぱい作ってほしいですね。それがきっとスタッフにとってはいい練習になり、衰退しつつあるディズニーのストーリーテリング力を復活させる原動力になるのではないかと考えています。

では!

(kyokucho/宮田 健)

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