遠藤です。みなさんこんにちは。
2月のこのコラムで冬の雪の中で傷ついたヒヨドリの若鳥を拾った話をお伝えしました。
その後、あのヒヨドリはどうしているのか?というお手紙をたくさんいただきました。中には「ひょっとして食べちゃったの?」という方もいらっしゃいました。
ご安心くださいヒヨドリ君は元気にしていますよ。
前回、昭島動物病院の植松先生に見てもらった時に「しばらくしたらもう一回受診してください」といってくださっていたので、足が折れて、テーピングしてもらったヒヨドリの足の具合はどうなったのか?、どのくらい回復していつ頃放鳥でできるのか?。そんなことをお伺いするために再度、昭島動物病院に植松先生を訪ねてみました。
早速先生に見てもらったところ、骨折していた骨はついており、神経もほぼ正常につながっているので、足はリハビリすることでだんだんと使えるようになるだろうとのことでした。
体は、まだ体重が回復していようで「えさが足りない、もっとえさをやっても大丈夫だ」とのことでした。私は野生に戻すためにはあまりえさをやりすぎて、過保護にしてはいけないと思って比較的セーブしてきたのですが、もっとたくさん、ほしいだけあげてもいいとのこと。また、えさは九官鳥のえさ
をタンパク源として与え、ビタミン等はミカンや、リンゴを切ったものをあげればいいとのことでした。
これからは安心してたくさん果物やえさをあげることができます。
羽はまだまだ生え替わっている途中で、飛べるようになるにはまだしばらくかかるそうです。私は、傷んだ羽はすぐにはえ替わるのかと思ったのですが、そういうことはなく、はえ替わりの時間は傷んでも正常な羽でも、同じだけの時間がかかるそうです。そこで、それまでは飼っておいてあげないといけないことがわかりました。このサイクルは半年から1年かかることもあるとのことでした。
先生は少しでも早く飛べるようにするため「接ぎ羽」という技を見せてくれました。これは古くは鷹匠のテクニックだそうで、昔はこうした鷹匠の技術は世界で日本が最も優れていたとのことです。
どんな風にするかというと
このように羽が折れると、全体が生え替わるまで羽は折れたままです。
そこで、
このように折れたところを切ってしまって、羽の主脈の所に細い針金を刺し、アロンアルファでとめるという方法で今回は行いました。
するとこのように、羽は元のような形に戻ります。
くっついた羽は形こそ元のようになりましたが、まだ飛ぶには不十分で、ヒヨドリ自身が毛繕いをして飛べる羽へと自分で微調整するとのことです。
何となく乱暴なようですが、鷹匠は飼っている鷹の羽の手入れにこの方法を使っており、狩りで傷ついた鷹の羽をこのように修理したそうです。
種が同じなら、同じ個体の羽でなくてもいいため鷹匠は落ちている鷹の羽があると拾って修理用の予備パーツとしていたそうです。
この写真は先生二人がかりで接ぎ羽をしているところを撮らせていただきました。
左側の先生が羽を接いでいるところで、矢印の部分がジョイントとなる針金です。
先生に貸していただいていた九官鳥のかごは体力の回復のために小さいかごでしたがこれからはリハビリのために大きなかごにした方が良いでしょう、ということだったので、
このようなうさぎ用の大きなかごでしばらくリハビリしてもらうことにしました。
たまに部屋の中に放してみるのですが、今のところ高さ1mくらいしか飛び上がることができません。
生死をさまよう段階は脱したので、半年くらい飼うと足もだんだん掴む力が回復して、さらには根も生え替わって飛べるようになるだろうというお話でした。夏前までにはヒヨドリを大空に返すことができるのではないかと思っています。
私は、すぐに放鳥することができると思っていたので情が移ってはいけないとヒヨドリに名前を付けることはしないできました。でも、しばらくこのまま飼い続けないといけないことがわかったので、家族で相談して「ぴよ」という名前を付けることにしました。
最近は、ぴよは朝、窓の外にヒヨドリたちがやってくるとケージの中で「ぴよぴよ、きゅるきゅる・・ぴよっ」っと、鳴くようになりました。
とってもかわいらしい声なんですよ。でも、いつかはぴよを放鳥しなくてはいけない時が来ます。きっと、ちょっと寂しい別れになるんでしょうね。
でも、その日を楽しみに、毎日をぴよと暮らしていきたいと思います。
これらの羽のイラストはイラストレーターあじこさんにお願いしました。快く引き受けてくださったあじこさんに感謝したいと思います。