《てんやわんやの大騒ぎ》スティーブ・ジョブズからNewerに電話がかかってきた話

スティーブ・ジョブズからの電話
スポンサーリンク

初代iMacにUSBが導入される

ご存知の方は多いかもしれませんが、初代のiMacに初めてUSBポートが採用されました。1998年のことです。

iMacがリリースされるまでMac業界ではUSBというのは全く使われていなかった規格でした。もともとUSBは1994年にPC用に開発された規格だったのですが、PCでもあまり普及していませんでした。

何かの本で読みましたが、インテルの役員がUSBが全然普及しないとジョブスに愚痴ったところ「アップルがUSBを導入すればすぐに業界のスタンダードになる」と豪語し、USB普及のためにiMacではUSBポートだけにしてしまったとか(この話のソースを探してみたがちょっと見つかりませんでした)。

それまでのMacではSCSIポートやADBやシリアルポートが主流でしたが、iMacではそれらを全て廃止し、USBポートだけを採用しました。
 
また、その当時Macにはデータを保存するためにフロッピードライブが搭載されていましたが、iMacにはCDドライブがあるものの、フロッピードライブは廃止となりました。

つまりiMacにはデータを外部に保存するデバイスが全くなかったのです。今のようにUSBのフラッシュメモリーなどいうものは存在していませんでした。USB接続の外付けの周辺機器も皆無でした。

初代iMacがリリースされたのが1998年の夏でしたが、技術的な問題でその秋になってもiMacで使用できるUSB接続の周辺機器がリリースされませんでした。

ハロウィンになってMacユーザーの間ではこのUSB問題を皮肉ってこんな会話がなされていました。

”世の中で一番怖い話をおしえてやろうか?iMacにはUSBポートしかないんだぞ。”
”それは怖わすぎる〜”
 

NewerでUSB機器の開発

実はこのiMacがリリースされる数ヶ月前にAppleの周辺機器メーカーがApple本社に集まられました。Newerもお呼びがかかり、社長のジェームスがクパチーノまで馳せ参じました。
 
そこでスティーブ・ジョブズ直々に至急USB接続が出来る周辺機器を作るようにお達しが出たそうです。
 
その当時NewerはCPUカードやメモリーのメーカーでしたが、新しい事業としてUSB機器の開発にとりかかりました。
 
で、出来たのはこんな感じのフロッピードライブでした。初代のiMacのボンダイカラーとおそろいにしてiMacの上に乗せてもおかしくない感じにデザインされていました。
 

Newer Technology uDrive

実はこのUSBフロッピードライブ、ドライバーの開発に数ヶ月もかかってしまい発売が遅れ、実際にはほとんど売れませんでした。Newerの失敗作です(苦笑)。
 

スティーブ・ジョブズからの電話

そんな折り、突然スティーブ・ジョブズからNewerの社長のジェームス宛に電話がありました。USB機器の開発状況についての確認だったようです。

Newerでは玄関で受付をしているおばさんが、Newerにかかってくる電話をそれぞれの担当者に転送していました。

ジョブスから電話があった時に社長は会議室にいたために社長室で電話を受けることが出来なかったようでした。そのため受付のおばさんが「社長、スティーブ・ジョブズから外線が入っています。」と社内で一斉放送をしたものですから、それを聞いた社員全員が”Wow”と声を挙げ、騒然となりました。

社長はダッシュで社長室に戻り電話をとっていました。そして、多くの社員が社長室の前に集まり、ドアに耳をあて、社長がジョブスどんな話をしているのか聞き耳をたてている状態でした。

騒然とした社内の様子を感じ取った受付のおばさんが「え?スティーブ・ジョブズって誰?誰なの?いったい誰?誰か教えてー!!」とハイテンションになっていたのを思い出します。
 

おまけ

社長はそれなりに忙しい人で、なかなか社員からの電話に出ている暇がありませんでした。「後からかけ直させます」と受け付けのおばさんは言うものの、実際に社長が電話をかけ直すことは少なかったように思います。

ただ、緊急の用事でどうしても社長と連絡を取りたい場合、「スティーブ・ジョブズから電話だと言ってくれ」と受付のおばさんに頼むと、必ず社長が電話に出てくれたということです。
 

 
 
 

タイトルとURLをコピーしました