遠藤のモバイルガーデン:スペースフレンド2002、空を飛ぶたねの風洞実験

スペースフレンド2002に講師として参加

9月21から23日の連休を利用して、財団法人日本宇宙少年団「スペースフレンド2002」というイベントが開催されました。

宇宙少年団は松本零士理事長に毛利衛団長

宇宙少年団という団体はあまり聞き慣れないと思いますが、1984年にアメリカではじまった科学教育振興の団体で、日本、アメリカだけでなく各国に同じような団体があります。

理事長は松本零士さん、団長は毛利衛さんとあまり聞き慣れない割には豪華な団体なんですよ。

私は、スペースフレンド2002の中で行われたワークショップの講師として参加してきました。

今回のテーマは「飛ぶ」

宇宙と植物?・・あまり接点がないように思われますが、「飛ぶ」というキーワードで関連づけ、ワークショップを行いました。

動物はその分布範囲を広げるために自ら動くことができます。では、植物はどうでしょうか?植物は移動できません。しかし、地球上ほとんどの地域で、植物は繁茂しています。

植物はたねを飛ばして世界中に広がっていった

どうして、植物は地球中に広がっていったのでしょうか?

答えは「たね」。

植物は動物のように自らが動くことができない代わりに「たね」を拡散させることによって分布を広げているのです。

では少しでも、遠くに「たね」を運ぶにはどうしたらいいでしょうか?

・「たね」をできるだけ軽くする。
・翼をつけて飛ぶ。
・動物にくっついて動物に運んでもらう。
・動物に食べてもらって、運んでもらう。

等、いろいろなやり方があります。

翼のあるたね

そのなかでも、翼をつけて飛ぶという方法に注目してみることにしましょう。

飛ぶというのにもいくつかの方法があって、以前、6月27日に紹介した「遠藤のモバイルガーデン:東南アジアからの手紙。芳香剤としてのソリザヤノキの種子」のように、グライダーのように飛んでいく物や、タンポポのような綿毛を持つ物、カエデのようにくるくる回りながら落ちる物まであります。

カエデのくるくる回って落ちていくやり方は、「たね」がすとんと落ちる代わりにくるくる回ることで落下の時間を稼いで、その間に風が吹けば遠くに行けるという利点と、落ちたところが生育に適さない乾燥地だった場合に風によってもう一度飛んでゆけるという2つの利点があります。

カエデの「たね」が、くるくる回っているところをじっくり観察できるといいなと思い、風洞を作ってみました。

この右側にあるのが風洞です。風洞の下の方にDC駆動のファンが入っており、その上の整流器(中にストローがたくさん縦に入っている)を通し、円筒形の筒の中に整流された空気を送ります。

各部分は簡単に分解でき、また風洞本体部分はプラスチックのフィルムを丸めただけなので、コンパクトにたたんで持ち運びができるようになっています。

空気の量は真ん中にいる子供が持っているコントローラーで調整してちょうどいい風量にします。

すると、カエデの「たね」がホバリングしたように一カ所で回転し続けます。

この装置ははじめ、簡単にできるだろうと思っていたのですが、ここまでになるのに約1年半程度かかってしまいました。

風洞は、大きければ大きいほど、また、風の早さが早いほど安定すると言われています。持ち運びのできるようなコンパクトなサイズで、しかもカエデの「たね」を回すようなゆっくりした風を安定的に送るのは大変難しいのです。

写真では、残念ながらたねが回る様子をお見せすることはできませんが、教室では参加者たちに好評でしたよ。

追記)以下の記事内でたねが回る様子をお見せ出来ます。

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