kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第10回 物言わぬ主人公たち

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

ディズニーの作品に登場するキャラクターは魅力的なものが多いのですが、今回はその中でもセリフのない、物言わぬ主人公たちにスポットを当ててみましょう。

しゃべらないキャラクターの筆頭といえば、ミッキーの忠実なペットであり友人のプルート。このプルートは「基本的には」しゃべらないのですが、その表情や身振り手振りで、しゃべるキャラクター以上の魅力を持っています。最初はミッキーシリーズの短編の名わき役だったのですが、その後独自のプルートシリーズとして48本の短編に主演しています。その中の1本、「プルートの悩み」ではアカデミー短編賞をとるほどの成果。で、先ほど「基本的にはしゃべらない」と書いたのですが、彼は短編「ミッキーの猟銃」にてたった一言だけしゃべったことがあります。誤って猟銃で撃たれてしまった(と思い込んでいる)プルートがミッキーの腕に抱かれて一言「キスして」としゃべったのですね。これは明日使える小ネタとしてお使いください。ちなみにプルートという名前が付いたのもこの作品からです。:-)

そして長編映画の「物言わぬもの」の筆頭はやはり「白雪姫」に登場した7人の小人の一人、ドーピーじゃないでしょうか。ドーピーは7人の小人の中では唯一髭をはやしていないという時点ですでに異色の存在ではありますが、その姿以上にその動きや行動が際だち、映画を通しても最重要キャラクターとなっているのがわかるかと思います。他にも同様の映画・キャラクターと言えば、最近の作品だとアラジンのマジック・カーペットが同じように言葉以上に動きで表現するキャラクターで、きれいな模様をなめらかに見せるためにコンピュータ・グラフィックスでテクスチャ・マッピングが使われています。また、先日日本でもビデオ・DVDが発売された「リロ・アンド・スティッチ」の主人公、エイリアンのスティッチも近年まれに見るすばらしいキャラクターに仕上げられています(スティッチは全くしゃべらないと言うわけでもないですが)。

これらの物言わぬキャラクターたちがなぜ魅力的なのか、ということを考えてみると、理由は非常に簡単で、ディズニーは元々、サイレント映画として短編アニメーション映画を作っていたことがあげられるかと思います。ミッキーもミニーも最初に登場したのはサイレントの映画「プレーン・クレイジー」で、当然身振り手振り、そして表情ですべての表現をしていたのですから、まあ当たり前と言えばその通りなのかもしれません。ここ最近アニメーション、いや正確にはコンピュータグラフィックスの表現能力向上(と、それによるコストダウン効果)により、いろいろなアニメーション映画が作られてきましたが、重要なのはキャラクターの表現能力なんだと思います。これは「きれいに見せる」「本物みたいに見せる」じゃなくて、「いかに生き生きしているか」。物言わぬ主人公たち、実はそれこそディズニーの真骨頂なのです。

kyokuchoは昨年、アメリカで「リロ・アンド・スティッチ」を二桁回くらい見に行ってしまうほどはまっていたのですが、その理由はたぶん、物言わぬキャラクターが主人公で、パントマイム的な表現でセリフがなくともその心情を体現していた、という昔ながらの「ディズニー映画」を見ることができたから、っていう理由だったのかなあ、と今更ながらに思っています。「リロ・アンド・スティッチ」をまだ見ていない人はぜひ体験してみてくださいね。kyokuchoお勧めの1本です。

では!
(kyokucho/宮田 健)

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