こんにちは、kyokuchoです。
何かコラムのネタがないかなと思っていたら、ありました。cnn.co.jpに「ディズニー、ピクサーなしで「トイ・ストーリー3」製作?」と言う記事が(って書くとこのコラムがどんなタイミングで書かれているかバレますね)。トイ・ストーリー3が作られるかもしれないという情報は、すでにPixar社とDisney社が決裂したタイミングでプレスリリースでも触れられているのですが、世間の反応は予想通り「ディズニーってなんて傲慢なんだ!」という論調のようですね。kyokucho個人の見解としては、作りたければ作ればいいんじゃないかと思ってます。この辺の話は以前「『パクリ系問題』問題」でも触れたんですが、特にネット上ではこういったディズニーの行動に対して過敏に反応している発言が非常に多いです(「発言している人」が多いとは言わない)。が、非難されるのは作品であって、会社じゃないような気がするんですよね。もちろん、体制という意味ではアイズナーCEOの取った行動はかなり問題有りだとは思ってますが、実際のトイ・ストーリー3の輪郭すら出てこない現在、この話題は大して意味がないような気がします。もしかしたら、前作、前々作を超えるものすごい作品がディズニーから出てくる可能性もある訳じゃないですか。無いに等しいですけど(苦笑)。
さて、この辺で昔を振り返ってみましょう。時は1933年。ウォルト・ディズニーがある短編を大ヒットさせました。その短編とは、ファイファー、フィドラー・プラクティカルによる「三匹の子ぶた」。この劇中に使われた「オオカミなんか怖くない」は当時の大ヒットソングとなり、ディズニーがまた大きくなった記念すべき作品です。
で、このころはウォルト・ディズニーは映画の制作だけを行っており、配給は別の会社によってコントロールされていました。配給側が気に入らなければ、当然ながら上映が出来なかったわけです。「3匹の子ぶた」大ヒットに気をよくした配給会社は、ウォルトに「またブタのを頼むよ」と言われますが、ウォルトは乗り気ではありません。結局、ウォルト・ディズニーはその後ブタとオオカミのキャラクターをそのまま使った「赤ずきんちゃん」と「3匹のオオカミ」を制作しましたが、1作目に比べ平凡な結果となっていました。
このとき、ウォルトはそれらの短編について「ブタ以上のものをブタで作ろうったって、無理な話さ」と話しています(これは、日本でも発売された「白雪姫」DVD、コメンタリーで実際に聞くことが出来ます)。この言葉から見ると、ウォルト自身は続編制作には全く乗り気ではなく、そのパワーがあるのならば全くの新作で勝負すべきだと考えていたようです。事実、その3匹の子ぶたのヒット後、当時としては想像もつかないアニメーションによる長編を完成させ、このときも世間から「7人のこびとの続編が見たい」という声を無視し、映像的にさらに飛躍した「ピノキオ」を作り出しました。
確かに、ここ最近のDisney社は次々と続編、続々編を制作しています。そのほとんどは見るに堪えないクオリティではありますが、ほとんどがビデオオンリーの作品でもあります(劇場公開したピーターパン2などは結構しっかりと作られていました。そもそも原題には2の文字はなかったですが・・・)。これは、ディズニーは実際続編を売り出すことを目的としているのではなく、あくまでテレビシリーズのパイロット版としてビデオを出しているに過ぎないからです。先日日本でも発売されたリロ・アンド・スティッチのビデオ続編「スティッチ・ザ・ムービー」も、アメリカでは発売直後からテレビシリーズがスタートしています(日本でもスカパー、ディズニーチャンネルで放映されるようです)。ですので、このような続編を作る施策は彼らにとってはあくまでビジネスなんです。
ただ、トイ・ストーリー3問題だけはちょっと毛色が違うのも確か。プレスリリースが出たのが1月末だったのに、今頃この話が再燃するというのはなんか穏やかじゃない感じがします。Disney社に何か狙いがあるのか、それともPixar社によるものなのか・・・やっぱりこの2社のウォッチは面白い。
では!
(kyokucho/宮田 健)