遠藤です。みなさんこんにちは、今回はチューリップのお話です。
チューリップの原産地はどこ?
チューリップにはたくさんの品種が知られていますが、チューリップの原産地はどこだかご存じですか?
チューリップはアフガニスタンからイラン・イラク・アラビア半島を経てトルコに至る地域、いわゆる「西アジア」地域が原産地です。
私の庭に咲いたチューリップをみてください。
これは原種に近い種です。
そもそも、原種のチューリップは遮るもののあまりない大草原に咲くために風でおれないように茎は短かったものと考えられます。
チューリップの品種改良
その後、主にオランダでの品種改良の結果、いろいろな品種ができあがりました。
このように花びらの縁がギザギザになったものや、
このようにたくさんの花茎が枝分かれして多くの花を咲かせるタイプなどがあります。
チューリップの花の開閉条件
チューリップを育ててみると、夜は閉じていて、昼開いていることがわかります。このことは実際に育ててみたことのある方はご存じだと思います。
チューリップが開いたり、閉じたりする条件にはどんなものが考えられるでしょうか?
温度をみなさんと一緒に調べるためにデジタル温度計を購入してみました。温度センサーをチューリップの花の中にセットして温度を調べることにします。
写真を見るとAのチューリップの花は閉じており、そのときの気温は15℃、Bのチューリップの花は開いており、そのときの気温は19℃でした。また、Aの写真は朝に撮影し、Bの写真はお昼前に撮影したものです。
このAとBとの2枚の写真からチューリップの花の開閉の条件がわかりますか?
「温度だ!」と思った人は、ちょっと早いですよ。よく考えてみると、条件を温度に絞ることはできないと思います。ちょっと考えただけでも2つの条件が考えられるからです。
チューリップは光に反応?温度に反応?
その条件の一つは、光が考えられます。
もしも光がチューリップの花の開閉の条件を担っているなら、日の光を浴びてチューリップが開き、夜になって光が無くなり、暗くなると閉じる。というように考えることができます。
Aの写真は朝の写真ですから、これから日の光を浴びて時間がたつとBのように花が咲くのかもしれません。
もう一つは温度ですね。
昼になって気温が上がると、開いて、夜になって涼しくなると閉じる。
このような2つの可能性があると思います。
では、実際どちらなのかはどうやって調べたらいいと思いますか?
一つは温度条件を一定にして、光の量だけを多くしたり、少なくしたりできるようにした環境を用意して調べる方法があります。
明るいときに開いて、暗くすると閉じれば光の条件が重要だとわかります。
2つめは、明るさの条件を一定にして、温度を上げたり下げたりできる葉にした環境を用意して調べる方法があります。
温度を下げると閉じて、温度を上げると開けば温度条件が重要だとわかります。
せっかく条件を考えてみたので、実際やってみることにしました。
実験開始!
今回は光の条件を段階的にコントロールすることが難しいので真っ暗な部屋で温度をコントロールして調べてみることにしました。
ちょうどチューリップは鉢植えでしたのでこれを家の中に持ってきて実験することにしました。
では皆さんと一緒に実験を見てゆきましょう。
実験は深夜0時に花の閉じているチューリップを暗室に入れました。このときの室温は18度でした。この温度を保つためにヒーターを使って室内を加熱しました。10分に1回ずつ暗室の中のチューリップを観察することにしました。
暗室の中でも温度が高ければ、チューリップは花を開かせることがわかりました。では、こんどは、温度を下げてゆくとどうなるでしょうか?
この日の外の温度は約10度だったので、暗室の窓を開けて外気を取り込みながら室温を10度程度にして、最初の1時間は10分ごとに、その後は30分ごとに1度観察することにしました。
時間がたつごとにだんだんとすこしは閉じつつあるようなのですが、いくら観察してもなかなか、完全に閉じないので、おかしいなと思ったのですが、なんと、朝の4時半にやっとこのように閉じているのを観察することができました。
このことから、
1)チューリップの花の開閉には温度が関わっている。
2)チューリップの開き始める温度は15度から19度の間くらいである。
3)開くときは20分程度で開くが、閉じるときには3時間半以上かかる。
ということがわかりました。
2)については、文献などでは18度とされています。
温度によって開閉することはご存じだった方も多いと思いますが、開閉にかかる時間は同じではないのはちょっと意外でした。
知識として知っていることでも、実際やってみるとおもしろい結果が出ることがあります。植物だけのことではありませんが、頭でいろいろ考えるだけではなく、実際やってみるということも重要ですね。