遠藤のモバイルガーデン:霜柱・シモバシラ(その2)解説編

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霜柱

遠藤です。みなさんこんにちは。
 
私の自宅ではシモバシラの霜柱(しもばしら)だけではなく、みなさんのよくご存じの「霜柱」もたくさんできます。

これを朝、さくさくと踏みしめるのが私の冬の朝の密かな楽しみなんです。

さて、前回のシモバシラの霜柱(しもばしら)の観察、どうでしたか?

あまり見かけない現象なので理解するのがちょっと難しかったかもしれませんね。

前回の復習

そこで、ちょっと前回の観察でわかったことを復習したいと思います。

  1. シモバシラという植物はシソの仲間で、冬になると地上の部分は枯れて軸だけになってしまう。
     
  2. シモバシラの霜柱(しもばしら)は夜にできはじめて朝には完成する、そして日中には溶けて無くなってしまう。
     
  3. 霜柱(しもばしら)は枯れたシモバシラの茎の縦に走っている繊維にそってフィルム状にできる。
     
  4. 霜柱(しもばしら)ができるスピードは1時間に4−5ミリ。
     
  5. マジックでつけた印は茎からだんだん遠くへと移動しているので、霜柱の原料である水分は、空気中の水分が枝に着いて積み重なってできたのではなくて、茎の中から出てきた水分が、今ある霜柱(しもばしら)を押し出しながら凍っている。

ということがわかりました。

最後の5は、みなさん気づかれましたか?

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水はどうやら茎の中から外へ

枯れている茎なので水が運ばれてくることはないかと思っていたのですが、霜柱の原料である水はどうやら茎の中から外へ向かって供給されているようです。

もしも、霜柱が成長していても印が動いていなければ水分はシモバシラの外から(空気中)から供給されたことになります。

その水はどこから来たのか?

さて、みなさん、この水はどこから来たと思いますか?

庭にできる霜柱のように生命現象と無関係に霜ができるのでしょうか?それともほかに原因があるのでしょうか?

私は、土の中の水分をシモバシラが吸い上げているのではないかと思っています。
 

東北大学の先生は...

シモバシラについては、面白い現象が観察されるのでたくさんの方がいろいろ書かれている文章をインターネット上で見ることができます。たとえば東北大学の先生の書かれた文章では・・・

シモバシラの霜柱
・・・茎の維管束の中の水が凍って茎の外へと伸びだしたもので、持ち上げているのは小石ではなく、茎の表皮です。それがこの植物の名の由来です。一度これが出来ると茎の構造は壊れるので一年にたった一度だけ、シモバシラが咲かせる冬の花というわけです。」

と書かれていました。
 
要約すると

シモバシラは
A)茎の中の維管束の中の水が凍って外に出ることによって霜柱(しもばしら)ができる。
 
B)霜柱(しもばしら)は1年に1度だけできる。

と書かれています。

それは間違いではないか?

しかし私の観察では、B)については、同じ茎に何度も霜柱(しもばしら)ができることを観察しているので間違いだと言えます。

A)については茎の中のさらに小さな管である維管束に入っている(たまっている)水分だけであれだけの氷を作ることができるかどうか疑問です。

私は、たぶん地下からの水の供給もあるのではないかと思っています。

シモバシラは多年草で、地上の枝は枯れていますが、実は地下の根はまだ生きています。ですから地下から汲み上げられた水が枯れた枝を通って外へと出るときに氷の霜(しも)となるのではないかと思っています。
 

さらなる観察が必要

確証はありませんからこの疑問を解決するにはさらに観察をしないといけないと思います。

しかし私がそのように思ったヒントとしては

  • あ)シモバシラができたときの地中の温度は地表面よりも高温であった。
     
  • い)シモバシラの苗全体を冷凍庫に入れてシモバシラができるかどうか実験したところ、できなかった。

という報告があるので、地下からの水の供給があるのではないかと思ったのです。

あ)については、地上が氷点下(私たちの観察では午前2時半には氷点下2度でしたね)でも地下には液体としての水がありそれを地上へくみ上げられる可能性を示しています。
 
い)については、機械的に茎の中に貯蔵されている水分が凍ってシモバシラができるのであれば、い)の実験でもシモバシラができるはずですが、地中の生きているはずの根まで凍ってしまって水の供給ができなかったためシモバシラができなかった、と考えれば説明することができます。*注1)
  

最後に

最後になりましたが、シモバシラは本州の関東地方以西の太平洋側と,四国,九州の山地だけに分布する種で、世界中で日本にしか生えていません。世界的に見れば珍しい種ですが、そんなに探すのが難しい種ではありません。シモバシラの霜柱(しもばしら)は朝早くにしか見ることができないため、そんなに知られていないのだと思います。

みなさんも、実は身近に目にしているけれど、見逃しているのかもしれませんね。

冬の朝なんていう植物のもっとも出逢わないような時期にでも観察することはたくさんあります。
冬の朝、霜柱をさくさくさせながら近所を観察散歩をしてみませんか?
 

注1)
この私の説にはいろいろ問題があります(どこだかわかりますか?)ので、完全に肯定しきることはできません。

本当にこのようなことがあるかどうかを調べるにはさらにいくつかの実験を組み合わせないといけないでしょう。
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