選択肢は多いほうが良い?
選択肢が7つを超えると、人はとたんに正しい選択が出来なくなるという性質があるにも関わらず、人は多くの選択肢がある状況を好む。選択肢が多いほうが自分にとって好ましい選択が出来ると思うからである。
よって、人は1つの選択肢よりも2つ、2つよりも3つ、3つよりも4つ、とその欲は果てしなく続く。
しかし実際は皮肉なことに選択肢が増えることで、正しい選択が難しくなり、なんとか選択をしたとしても、後々、あっちにしておけば良かったというような後悔の念にさいなまれる。心理学者のバリー・シュワルツはこれを”選択のパラドックス”と呼んでいる。
選択肢を失いたくない
さらに、”人は一度得た選択肢を失いたくない”という性質をもっている。
例えばネット上の情報。
昔、情報を入手するのにコスト的(新聞や本を購入する)、物理的(書店や図書館まで出かける)、時間的(書店や図書館が特定の時間しか開いていない)な制限があった。よって、入手出来る情報は、ある意味有限だった。
ところがインターネットの普及によって、情報を入手する制限がほぼ無くなった。つまり人が求める限り、情報を際限なく入手することが出来るようになったのだ。
TwitterやFacebookやMixiのようなSNSを通し得られる文字や写真による情報、Podcastや音楽配信による音の情報、Youtubeやニコニコ動画やUstream等の動画情報などなど、私達は様々な情報を瞬時に大量に入手するようになった。もう1日24時間では手に負えないほどの量である。
ネット上の膨大なデータを追い続ける
しかし、人は”一度得た選択肢を失いたくないという性質”があるため、自分で処理しきれないほど大量の情報であっても手放せなくなる。そのため、電車の中、休み時間、授業中、会議中、睡眠時間を削ってでも情報を入手し続けることになる。そうしないと不安なのだ。
もともとは、生活の役に立てる目的で情報を入手していたにもかかわらず、いつのまにか情報を入手することが目的になってしまう。そして、さらにエスカレートすると、情報を入手するためなら生活を犠牲にしても良いと思うようになる。本末転倒、すごく皮肉なことである。
参考文献:
ジョナサン・ハイト著 しあわせ仮説
ダン・アリエリー著 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
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