赤城乳業ガリガリ君リッチコーンポタージュが売れすぎて販売休止になったと、ネット上で話題になっている。
私の全く個人的な推測だが、もともと、赤城乳業の中でこのガリガリ君リッチコーンポタージュをジョーク的な製品で、話題づくりになれば良いというような位置づけだったと思う。だって、素人目に考えて、コーンポタージュ味が主力商品になるとは思えないもの。
つまりマーケティング的に、今更ガリガリ君を宣伝するのは難しい → 何か話題の製品を開発しよう → フルーツ味やチョコレート味では斬新性に欠ける → 通常アイスにならないような食材を選択しよう → コーンポタージュ味 というような展開だったのではないだろうか。
それで、通常のマーケティングであれば、テレビ・ラジオ・雑誌等に広告を出せば良いだけだが、新製品となるとちょっと別の問題が出てくる。
1つは製造の問題、もう1つは販売の問題。
まず製造の問題。新しい製品というのは試作以上に製造が面倒だ。主力のガリガリ君(ソーダ・レモンスカッシュ・イチゴサワー)を作っているところにコーンポタージュ味を割りこませることになる。こういう製造ラインではロット(またはバッチ)という単位で製造数が決まっていて、その単位以下では作れない。(仮に1ロットを1万本とした場合、1万本の次は2万本になるわけで、1万1000本は作れない。)
こういう製品の切り替えをすると、味が混ざってはいけないのでライン全ての洗浄が必要で、かつ原液の混ぜ方、型に流しこみ方、ラインのスピードといろいろと設定を変える必要がある。そのための手間と時間が大変なのだ。もちろんその切替作業中は製造が出来ないので売上ダウン・コストアップにもつながる。そして製造が終わったらまた主力の味に戻すのに同じ時間がかかる。少ない製造数のために、こういう時間を取られたり、工数を取られるのはメーカーは嫌がるわけだ。なので、すごく売れたので再度作りましょうとはなかなかならない、もっと大量につくれる製品なら価値があるが、ちょっとの数量では割に合わない。
次に販売の問題。
コンビニでもスーパーでも行ってアイスのコーナーを見ると色々な種類のアイスがたくさん販売されている。コーンポタージュ味がでたので、どこかに入れて下さいといいたいところだが、もうスペースがない。となると、別のアイスを追い出さなくてはいけない。で、一般的に考えられるのは、ガリガリ君ソーダ味があるところの1列をコーンポタージュ味に割り当てるようなことだ。営業的にはコーンポタージュ味が売れなかった場合、コーンポタージュ味が居座り続けることになる=主力製品の売上が落ちる、ことになるわけだ(結果的に完売で良かったけれど)。
では、ここから再製造できるかというと、かなり難しいのでは?なんて勘ぐってしまう。
なぜかというと、これは一時のブームで、再度販売した時にかならず売れる保証がないからだ。これから1ヶ月後、2ヶ月後にコーンポタージュ味が出てきて、皆買うだろうか?話題なので1本ぐらい買うけど、再度買うと思う?となると、少ないロットで製造しないといけない。そのために、主力商品を製造しているラインを割り当てる価値があるのか?
営業的な問題としては、次回販売開始時にはどのお店も欲しがるけれど、全国に十分に届けるほどのロットを作っても大丈夫なのか?あっちの店にあるのにうちには無いの?なんて言われたら、営業的に困る。人気が出る前なら、「あれは話題作りのための商品なんで、こちらのお店のお客様はハイソな方が多いので売れ筋だけにしておきますね。アイスにコンポタージュ味なんて変でしょ。」なんて詭弁を言って、置いてある店とない店があっても困らなかったはずなので。
でも、多くの店に供給できるような数量作って、どのお店でもちょっとづつ残ったら、大量の売れ残りになるし、とばっちりを食うのは主力製品のソーダ味で、ソーダ味置いてもらうスペースが減る=売上が落ちるということなので、それはそれで困るんだと思うんですよね。
予想よりも早く完売となりました。コスト的に元が取れました。マーケーティング上も大成功でした。主力製品でもありませんので真剣に作る気もありません。よって、ここでやめておきましょう。こういうもののはちょっと足りなくなるぐらいが、メーカーも買う方もハッピーです、となるのではないかと。
それでこれは全く私の勝手な推測。ラインの切り替えなんてすごく簡単かもしれないし、営業的にもそんなに大変ではないかもしれない。これからどうなるのか、乞うご期待です。
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