バスケットボール教室に参加したい
2000年初頭、仕事の関係で米国から日本に帰国した時のこと。その時はおよそ2ヶ月日本に滞在することになりました。
日本で仕事ばかりしていて体がなまってきたので何かスポーツをしたいと思い、探してみると港区のスポーツセンターで一般者が参加できるバスケットボール教室があることを知りました。
参加してみようと思ったもの、バスケットシューズがありません。ビジネスでの一時帰国なのでそんなものを持ってきていません。
どこかでバスケットシューズを買わなくては。
バスケットシューズを探しにアメ横へ
そこで、思いついたのがアメ横。
アメ横には靴屋さんとスポーツ用品店が乱立していて、何かしら良いバスケットシューズが入手出来ると考えたわけです。
しかし、複数のお店を回ってみたものの気にいったものが見つかりません。
で、ふと入ったお店でバスケットシューズを眺めていると、オーナーさんが気さくに声をかけてくれました。年は自分よりも若干若い30代後半のずんぐりむっくりした、人の良さがにじみ出ているような人でした。
「バスケットシューズを探しているのだけれど、いまいち古いモデルばかりで」と話をすると、奥から最新のナイキのバスケットシューズを出してきてくれました。
そして、彼がそのシューズについて熱く語りだしました。
自分もその当時米国在住だったのでNBA(米国プロバスケット)の事情や、どの選手がどのモデルのバスケットシューズを履いているかよく知っていました。
その当時ネットが現在ほど普及しておらず、日本でNBAの情報はほとんどなく、専門雑誌で知る程度。NBAの試合を観るにはケーブルTV?を契約するしかありませんでしたので、日本でNBAに詳しいというのは貴重な存在でした。
ちゃんと自分の言っていることを理解して、正しく返答してくれる人は少なかったですから、うれしかったですね。
で、そのオーナーと20分ぐらいNBAの話で大いに盛り上がりました。
「お客さん、NBAに詳しいなー。話が面白かったから、お礼にこのシューズを値引しますよ」とのオファーを頂戴しました。
ただ、最新の輸入品なので、米国で購入する価格の1.5倍ぐらいするんです。確か2万円を超えていました。正直予算オーバーです。
ただ、この店長さんの人柄に惚れ込んだことと、NBAの話で盛り上がり気持ちが高揚していたことも手伝って即座に購入する旨を伝え、サイズを探してもらいました。
ところが、自分足にあうサイズがないのです。
「明日になれば別のサイズが入荷しますから明日チェックしに来てくださいよ。」ということで、その日はアメ横を後にしました。
翌日再びアメ横へ
で、翌日仕事が終わった後に再びアメ横に出向きました。
そしてその店に到着するとオーナーさんがさっそく寄って来てくれました。
昨日のようにNBAの話で盛り上がるのではないかと楽しみにしていたんです。
ところが、オーナーさんが「何かお探しですか?」と聞いてくるのです。
この問いかけには正直拍子抜けしました。昨日自分とNBAの話で盛り上がったことを忘れているのです。
「お客さん、待ってました。あのシューズの別のサイズ入ってますよ!」というような言葉を自分は期待していたんです。
確かにオーナーさんともなると1日に何百人という人を相手にするわけですから、一介の買い物客をいちいち覚えていられないのかもしれません。
ただ、昨日の盛り上がりはなんだったんだ!あの意気投合した自分のことを忘れてしまうなんて。正直、がっかりしてしまいました。
結局、予算オーバーだった最新のバスケットシューズの購入はやめ、セール品のシューズを買って帰りました。
この時は自分が客側でしたが、自分も接客をする仕事をしているわけで、接客って難しいなと感じた次第です。