メモリ圧縮機能とは
Mac OSではOSX10.9 Mavericks以降に”メモリ圧縮”という機能が採用されました。
これはアプリ等でメモリーの領域が確保されていながら、未使用部分をぐっと縮めて、メモリー領域を実際に使用しているアプリ等に優先的に割り当てる技術です。
メモリー圧縮について確認する方法は、アクティビティーモニターの”メモリー”タブをクリックすると以下のような一覧が現れます。その中の右から3番目の”メモリー圧縮”という項目がメモリー圧縮です。
例えばこの一覧の一番上の項目、”Numbers”が起動時に174.4MBのメモリー領域を確保したが、現状使用されていないので87.4MBを圧縮していることを示しています。
メモリー解放とユーティリティー
ですので、現在のMacにおいて、メモリー解放は必要がなくなりました。一時期メモリーを解放するためのユーティリティーが流行りましたがOSX 10.9以降、使う必要はありません。
もしMac使用中にレインボーカーソルが出てMacが遅く感じるような場合、既存の使用していないアプリを終了させてみるぐらいでよいのではないでしょうか。
OS8やOS9の頃はRAMダブラー(苦笑)
でも、メモリー圧縮は技術的には決して新しいものではなく、前々からありました。
有名なものはConnectix社のRAMダブラー。OSXになる前には多くのMacユーザーはこれを愛用していました。
ひやー懐かしい。自分もこのユーティリティーには大変お世話になったのです。なんせこのユーティリティーが発売された1990年代後半はメモリーが高価かつ、Macに搭載できるメモリー量が64MBとか128MBとかが普通でしたので。64″GB”じゃないですよ、64″MB”ですから!
PowerBook 2400の標準メモリーは16MB
日本でばか売れしたPowerBook 2400なんて標準で16MBしかメモリーが搭載されていないというのは、今から考えるとすごい事実です。そんな小さなメモリーでよくOSが動いていたものです。現在のMacの標準的なメモリーが8GBなので、あれから20年でメモリーは512倍になったということですね。すごい時代に生きているなー(遠い目)。
ちなみにPowerBook 2400の64MBの増設メモリーに約1万5千円出したように覚えています(購入時期やお店によって価格はばらばらだったが)。なぜ覚えているかというと、Newer Technologyで働いていた頃、東京で開催されるMac World Tokyoに出張で来た時に2400のメモリーが不調になって、急遽日本でメモリーを調達しなくてはいけなかったからです。
あの当時Newerではメモリーを製造・販売していました。ですので、自分の2400の中にはNewerからテスト用にもらったメモリーを入れていました。だからメモリーにお金を払うという感覚がありませんでした。そのためMacWorldに出店していた、お店のブースで渋々メモリー代金を支払ったので金額を記憶していました。
そのようにメモリーが高価で容量少ない時代、メモリー量が倍になるのなら多少の投資はお安いご用という感じでした。自分の記憶が正しければRAMダブラーは5000〜1万円ぐらいの価格だったと思います。
ちなみにRAMダブラーがなんとメルカリで取引されていました。これを出品することも凄いですが、購入されているということにも驚きます。
なぜ最近になってメモリー圧縮を採用したのか?
でもなぜ、最近になってこの機能が導入されたのでしょうか?
これは自分の勝手な推測ですが、ユーザーがメモリーを増設できなくなったためではないかと思うのです。
MacBook系やiMacではメモリーがはんだ付けされてしまっていて、後日増設することが出来ませんので、本体購入時にメモリー容量を選択しなくてはいけません。この方法だと、本体購入時に多くのメモリーを選択してもらえる可能性が高い(利益率が高くなる)ので、営業的にはありがたいのです。しかし、少ないメモリーを選択したユーザーが後日メモリー不足となると、メモリーを増やせないために不満が出ることも予想されます。
ですので、その不満が起きづらいように、メモリー不足が顕著に現れないようにメモリー圧縮機能が採用されたのではないかと推測しています。
iPhoneの成功体験がMacにも採用されたのかも
たぶんですが、この技術はiPhoneですでに試されていてメモリーを増やせないiPhoneでうまく機能しています。そこで、Macのメモリーも後で増設出来ないようにして、その分をメモリー圧縮技術で補うという思いに至ったのではないかと推測している。