遠藤のモバイルガーデン:一枚の写真から 桜という栞

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今日、読みかけの本を開いたら、淡いピンクの花びらが挟まっていました。

さくらは春先、街の木々がまだ葉を出す前に花を一斉に咲かせ、そしてあっという間に散ってしまいます。花のあまりない時期に一斉に、しかも大量に咲く圧倒力と、反対にその花の短命性のコントラストがさくらの印象を強くさせる理由でしょう。

私たちにはいろいろな記憶、思い出があります。忙しく暮らす私たちが一瞬でも、ふと空を見上げる時間。そんな共通の時間をさくらは提供しているのではないでしょうか。

現在、さくらと言えば「ソメイヨシノ」を指すことが一般的です。ソメイヨシノの木としての寿命は平均で約60年ほどと言われており、一般の樹木の中では花の命だけではなく、木そのものの寿命も大変短いのです。

咲き急ぐさくら、生き急ぐさくらに私たちは春という短い季節の記憶を重ねるのかもしれません。

1軒の植木屋で作られたソメイヨシノが日本中に広められたため、日本中のさくらはほとんど一本の木ということができ、そのため同一の地域ではほぼ一斉に花を咲かせます。古来「さくら」と言えば比較的控えめな花で、葉と花が同時に展開し、赤い葉が美しい「ヤマザクラ」を指しました。しかしソメイヨシノが作出されてからはソメイヨシノがもつ圧倒的な花の量のため「さくら」と言う一般名称の地位をソメイヨシノに譲り渡すこととなりました。

私たちのこころに春の栞を挟む役目するさくら。2004年のあなたのページにはどんな記憶がブックマークされたのでしょうか。

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