kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第58回 花火で創るエンターテイメント

気分はブルースカイ

こんにちは、kyokuchoです。

夏と言えば花火の季節。先日友人の家におじゃまし、バルコニーで肉でも焼きながら花火大会を見ようということになったのですが、残念ながら半分くらいは煙で見えず。やっぱり近くで見ないと楽しめないですね。で、身近なところで花火が見られるといえばディズニーランドなどのテーマパーク。パークの一日の締めは華麗なファイアーワークスで、という方も多いかと思いますが、ここにもかなりの技術が詰め込まれています。

東京ディズニーランドなどで行われている夜の花火のショーは、パークの中から見るとわかりますが流れる音楽にぴったりとシンクロするように作られています。これ、実際に花火に見とれているだけですとなかなか気が付かないのですが、たとえばメリー・ポピンズのエンディングで流れる「凧をあげよう」の曲が流れると、それにあわせたかのように空を火の玉がふわふわと、まるで凧のように飛ぶのがわかります。また、曲のテンポに合わせて花火が破裂するのも、しっかり聴いて、見てみるとわかるかと思います。これ、簡単なようでいて・・・実際どうやっているか不思議ではありませんか?

以前のコラム「夢と魔法の素」でも少し触れたように、この幻想的なショーを支えるのはやっぱり技術力。ディズニーでは、花火がタイミングよく花開くように、花火の中にICチップを入れて爆発のタイミングを1/100秒単位でコントロールすることが出来るそうで、しかもそれらを様々な角度からデザインできるシミュレータを使い、ショーを設計しているそうです。このあたりが、いわゆる花火大会とは一線を画すポイントになるかと思います。

そして、アメリカのディズニー・テーマパークは演出がひと味違います。フロリダ、ウォルト・ディズニー・ワールドのEPCOTでは「リフレクション・オブ・アース」という花火のショーが開催されていますが、これはパークの中にあるラグーン全体を使って行われるものすごい規模のもの。このラグーンの周りには世界各国のパビリオンがあり、世界が花火のショーにより1つになるというもの。特にこのショーでは小さめの花火、ステージパイロと呼ばれるものを多用していて、湖に浮かんだ船から大量のステージパイロが火を噴きます。花火を使ったショーとしては、一番すばらしいのはこのショーでしょう。また、マジック・キングダムで行われている「Wishes」も、シンデレラ城の後ろからびっくりするくらいの量の花火が打ち上げられます(日本との大きな違いは、ショーのオープニングでシンデレラ城の尖塔からティンカーベルが手を振りながら飛んでくること!)。やはりアメリカは規模が違いますから、夜のショーは必見です。

しかし、日本のショーも負けていませんでした。ちょうど東京ディズニーランドが15周年を迎えた年に行われた「スターライト・マジック」というショーは、他のどのディズニー・テーマパークでも行わなかったスタイルのものでした。このショーの主役はキャラクターではなく、パークのランドマークであるシンデレラ城。クラシックの曲に載せ、ステージパイロが組み込まれたシンデレラ城があっという間にカラフルなライティングがなされ、花火が光るというもので、初めて見たときは会場全体がどよめいたことを覚えています。

これもやはり、曲とライト、そして花火がシンクロすることで想像以上の感動をもたらしていたのですが、ミュージックとビジュアルの融合、それは実はディズニーがもっとも得意としている分野なのです。とりわけ、実験的な作品である「ファンタジア」がわかりやすいかと思いますが、この作品で利用されている「禿山の一夜」や「くるみわり人形」音楽は誰もが知っているクラシックな曲ばかり。それを聴いたときのイメージをビジュアル化し、映画に仕上げたのがこの作品でしたが、それを映画ではなく花火と特殊効果で仕上げたのが、先に挙げたショー達。特に最後にあげた「スターライト・マジック」では、最初のアナウンスで「新しいファンタジアをご覧ください」とまで言っていた、ディズニーの自信作でした。ディズニーにとって、伝える手段が花火に変わっただけで、根底に流れる「良質のエンターテイメントをゲストに届ける」という目的は映画もパークもいっしょなのです。

パークを夜を彩るショーは、ディズニーのテーマパークでは定番とも言えるもの。ステージパイロを多用したショーへの転換は、特に東京ディズニーランドでは近隣住民からの苦情が非常に多かったこともきっと関連するとは思いますが、その苦情の解決がそのままショーのグレードアップとなることは、さすがディズニー、と思います。現在は打ち上げ花火の新方式を研究し、より煙等が出ないように改良されているとのことです。日々進歩するディズニー・テーマパークの夜。夏休みの間に行ってみませんか?

では!

(kyokucho/宮田 健)

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