遠藤のモバイルガーデン:アトラス果実の進化と構造 互いに関係しあう果実の構造

モバイルガーデンバナー

遠藤です。みなさんこんにちは。

前々回の果実のイチゴと、キイチゴの構造についての話は、今までの全コラムでもっとも内容が難しかったと思います。

みなさんどうでしたでか?理解していただけたでしょうか?

果実、種子というのは私たちが生きて行く上で欠かせない食料の主要部位です。ご飯だって、パンだって、そうですよね。

私たちの食べている部分がいったいどの部分なのかを知ることは大変興味深いことだと思います。

今まで以下の3回にわたってみなさんと果実の構造を見てきました。

これを知っていれば、たとえば、きゅうりはどこを食べているのか?、ピーマンはどこを食べているのか、そんなことに簡単に答えられるようになる思います。
 
今回は専門用語はほとんど使いませんでしたが、正確な用語で説明するには果実の種子を放出する様式、果実の水分含有量から見た様式、使用部分から見た様式、など今までの3倍程度複雑な果実を見る観点によって果実をそれぞれの観点で分類します。

したがって、同種の植物の果実でもたくさんの名前が重複してつけられています。たとえばコラムNo.72で紹介したイチゴなら、「イチゴ状果かつ、痩果かつ、偽果かつ、複合果(用例によって集合果ともいう場合もある)」のようになります。

複合果と集合果は本来、相反する用語のはずなのですが、混同され使われています。ここでは詳しく説明しませんが、その理由を知るためには200年以上前からの用語の歴史を追うことが必要です。

私たちはそうした用語上の複雑で本質と関わりの薄い部分を避けながら、構造の本質的な部分を一緒に見てきました。

このことは一般の人だけではなく、植物分類学という、この分野のプロの先生の論文を見てもしばしば誤りが見つかるくらい、難しい分野です。

最後に、桜子さんのイラストを再構成して今まで見てきた果実の構造の関わりを1枚の図にまとめてみました。

この図のリンクの先にはもう少し大きな図をリンクさせておきました。適宜リンク先の図をご覧になりながら読んでください。

この図で読みとれることは

A) 葉状の器官(心皮)に生殖器官(胚)がつつまれることで果実ができてくること*注1)

B) それぞれの果実は、全く新しい仕組みでできているのではなく、あるユニット(今回の場合ではサクランボ型果実ユニットが)が増えたり、減ったり、くっついたり、離れたりすることで多様な果実の構造が形成されること。

この2点が理解していただければ十分だと思います。

イチゴとキイチゴでの部分で示したように果肉が発達するか、未発達のまま成熟するかも、重要な指標ですが、果実の構造から見たときは本質とはあまり関係ないので、そういう観点もあることを押さえていただければいいでしょう。

いかがだったでしょうか?八百屋さんやスーパーで少しでも買い物が楽しくなればうれしいと思います。

みなさんがお店で見た野菜や果物でこの仕組みはどうなっているのか知りたいものがあれば解説のリクエストを募集します。メールしてくださった方には直接お返事できると思います、また、いくつか質問がたまったらこのコラムでも紹介したいと思います。
 

*注1)ここでの果実は心皮のある植物の果実を想定しています。

タイトルとURLをコピーしました