遠藤のモバイルガーデン:サクランボからキイチゴへ サクランボをコピペして作るイチゴの進化

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遠藤です。みなさんこんにちは。
今回は、果実の構造と進化の3回目です。

ケーキ屋さんに行くと、こんな風に

イチゴのケーキと、キイチゴのケーキが対になって売っていたり、両方乗っていてダブルベリーなんていうのもありますよね。

今回は果実の構造の中でイチゴとキイチゴについてお話ししたいと思います。

今まで私たちはサクランボ型果実の種子を増やすことでサヤエンドウ型の果実ができたり、

サヤエンドウ型の果実を束ねることでキウイ型の果実ができることを一緒に見てきました。

イチゴと、キイチゴの果実はどんな風にできているのでしょうか?

イチゴはどんな植物のグループかはみなさんよくご存知かと思いますが、キイチゴはどうですか?どんな植物のグループか想像できますでしょうか?名前の通りイチゴが草となるのに対してキイチゴは木となる植物です。

木と言ってもリンゴの木のような大きな木になるわけではなく、幹の太さは太くても2ー3センチほどの背の低い木です。

キイチゴをご存知なくてもキイチゴのグループに属するブラックベリーや、ラズベリーはどうですか?

そうです、キイチゴとはそうした植物の仲間なのです。イチゴと、キイチゴの果実の形が頭に浮かんだでしょうか?

先ほどのケーキに乗っているイチゴを見てみましょう
 

イチゴの果実はどれかというと、実はイチゴの赤くておいしい部分ではなくて、青い矢印で示した「つぶつぶ」の部分だけが果実なのです。

では、赤くておいしい部分は何かというと、花床といって、雄しべ、雌しべ、花びら、萼(ガク)を一つの花としてとめておくためのジョイントとなる部分です。イチゴを花の時から見て行くとよくわかるのですが、イチゴの花のジョイントとなる部分が膨らんで、甘くなったものを私たちはイチゴの果実だと思って食べているわけです。

イチゴのつぶつぶをよく、「いちごのたね」と呼びますが、実はあれは種子ではなくて果実なのです。

今までこのコラムで何回もすてきなイラストを書いてくださっているあじこさんは、ペンネームがこの号からかわって、川方桜子さんとなりました。川方桜子さんのイラストを見ながら、果実の構造を一緒に見てみましょう。

イチゴの場合はこのように花床(ここが食べておいしい部分となります)の上にたくさんのサクランボ型果実が付いているような構造をしています。

イチゴとサクランボとの違いは、果実の数が多いというだけではありません。サクランボの場合はこのあと果肉が発達してみずみずしい(おいしい)部分になりますが、イチゴの場合は果肉の部分はほとんど発達しません。このため、イチゴのつぶつぶが果実だとは気がつかれにくいのです。

逆に、つぶつぶの果実の中には1つの種子が入っているところはサクランボと同じです。

イチゴの果実の構造はわかっていただけましたか?

ではつぎに、キイチゴの果実の構造を見てみましょう。

イチゴとキイチゴは形はよく似ていますが、キイチゴとイチゴのもっとも大きな違いは「おいしい部分」がイチゴの場合は果実ではないのに対してキイチゴは果実そのもの(果肉)だということです。

イラストで示すとこんな風になります。
 

もう、みなさんなら、簡単にこのイラストを読み解くことができると思います。

イチゴで(おいしい)部分はキイチゴでは細くて、堅く、食べられません。

そのかわり、一つ一つの果実の果肉がみずみずしくなり「おいしい部分」となるわけです。

キイチゴを食べるとぷちぷちと心地よい歯ざわりがするのを覚えていらっしゃると思いますが、それは、キイチゴの一つ一つの果実がサクランボと同じように堅い核を持っているからです。サクランボでは堅い核はかみ切ることはできませんが、キイチゴの核は果実が小さいために容易にかみ切ることができ、あのプチプチとした食感となるのです。

サクランボや、キイチゴに核がある理由はよくわかっていませんが、これらの果実を食べる動物の糞を解析すると、中から核と核によって守られた種子が無傷で出てきます。

このことから、果実を動物に食べられても次世代を担う種子は消化されて死んでしまわぬように、そして、できれば種子を動物に運んでもらいたいというねらいもあるでしょう。

ちなみに、キイチゴやサクランボの果実で種子を守る堅い核は親の体でできています。やっぱり、子供を守ろうとする親心はこんなところにも現れているんですね。
 
 
 

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