こんなツイートが拡散されていました。
疲れて飛び降りて入院中の人から「何も知らない何もしない人に会いたい」との依頼があり病院へ。付き添いがいれば外出でき、飛び降りた現場の確認等に同行した。途中「姿は見えるけど話はできない所にいてほしい」と言われ離れた後、3枚目の画像のDMが来た。「1人にさせてくれる他人」が必要だった模様 pic.twitter.com/BsX8IfpNVs
— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) 2019年6月25日
ツイートの主は「レンタルなんもしない人」@morimotoshojiさんです。
レンタルなんもしない人さんとは
なんもしない人(ぼく)を貸し出します。常時受付中です。 国分寺駅からの交通費と、飲食代等の諸経費だけ(かかれば)ご負担いただきます。 お問い合わせはDMでもなんでも。 飲み食いと、ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます。
交通費と飲食費代のみで必要な人の元にいくサービスをされている人です。
疑問としては、これが商売なのか?商売として成り立つのか?何もしない人をわざわざレンタルしたいと思う人はいるのか?というようなことです。
レンタルなんもしない人さんプロフィール
レンタルなんもしない人さんこと森本祥司さんは、現在35歳。実は既婚者で一児の父親だ。
Friday Digital
ただ、このサービスに料金は発生しないので収入源にはなっていないようだ。
サービスの提供による対価は基本的には発生しないので、収入はほぼゼロ。貯蓄を崩しながらこのサービスを続けているという。
Friday Digital
一方で依頼は殺到しているようで、日々多忙のようです。
痔の手術への同行、裁判の傍聴、医師国家試験の合格発表見届けなど1日に約20件の依頼が届き、1ヵ月先くらいまでの間で日程を調整。ほぼ毎日、3~4件の依頼をこなしている。
Friday Digital
実は多くの人に必要とされる興味深い仕事なのだということがわかりました。
自殺未遂の方からの依頼
上記のツイートにあるように、自殺未遂の方からの以下のように依頼を受けたということでした。
いつか長時間空いている日はありますか。
XXまで来ていただきレンタルしたいです。
お見舞いというか、疲れて飛び降りて破裂開放骨折し入院しているのですが
何も知らない何もしない人に会いたいです。
依頼者は付き添いがいれば外出できるので、何も事情知らない何もしない人に会いたいというのが彼のレンタル理由でした。
なんもしない人さんは飛び降りた現場の確認等に同行したそうです。
依頼者に「姿は見えるけど話はできない所にいてほしい」と言われその指示通りにしたそうです。
自分の本当の依頼内容は「一人になりたい」だったのかもしれません。一人では一人になれないので。
依頼主
事実とか現実とかは自分が一番よくわかっているから話して再確認する必要はなくて、一人で静かに考えたり現実から解放される時間が今の自分には重要だということがわかりました。一人だけどひとりじゃない、一人にさせてくれる自分のための他人がいることはとても贅沢だと思いました。
このツイートから、一人になるためには、他人の存在が必要だという当たり前のことに気付かされました。
”他人に干渉されることは望まないけれど他人の存在が必要”というニーズは、ずっとずっと前からあったのかもしれない。レンタルなんもしない人さんがその需要を明確にしたということなのだろうなと思ったりしました。
本多孝好のMoment
話はちょっとそれますが、このツイートから自分が好きな、本多孝好のMomentを思い出しました。
病院の掃除夫のアルバイトをしている「僕」が死を前にした人の願いを一つ叶えてあげるという話です。
Momentの4つの短編の中の1つのFIREFRYの中で、死期が近づいた女性が、彼女の願いとして「僕」をデートに誘い蛍を見に行きます。そして蛍をみながらこうつぶやきます。
「もしこれから何年も何年も時が経って、もし今年と同じような(すごく暑い)夏が来たら、君はきっと私のことを思い出す」
「最後のお願い。もしも今年と同じような夏がきたら、その時は私を思い出して。バイト代はだせないけど」
人は自分の生きていたことを誰かに思い出して欲しい生き物だと思います。そのために他人の存在が必要なのだなと思った次第です。
最後に
レンタルなんもしない人さんが、SNSやブログや本の出版等で収入が入り、このレンタル業を長く続けていくことができればいいなと感じています。