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《今だから明かせる秘密》PowerBook 2400cとNUpowr G3 for 2400の開発秘話 第2話

PowerBook 2400とNUpower G3

1997年後半のMac業界

1997年の下半期、Mac業界はどのような状況だったのか簡単に説明します。

その当時はアドビ系のアプリはMacでしか動作しなかったので、クリエイターたちはみなMacのハイエンド機であるPowerMac 7500/8500/9500を使用していました。

PowerMac 7500/8500/9500のCPUはPowerPC 604。速度は200MHz前後でした。それがアップグレードカードにて220MHzや、240MHzにすることは出来ましたが、そのパフォーマンスの違いはほんのわずかでした。それでもクリエイターたちはその差のために投資を惜しみませんでした。

そんな中、Newer Technology(そしてその他のCPUカードメーカーが)がPowerPC G3を搭載したCPUカードを発売しました。このG3カードの登場によって、体感速度で2倍や3倍ぐらいの違いを感じるほど劇的にパフォーマンスが向上しました。

例えば、起動に2分ぐらいかかっていたマシンが30秒〜1分ぐらいで起動するようになったり、フォトショップのフィルター処理に10秒とか20秒と待たされていたのが、瞬時に終わるようになったりしました。

G3カードはCPUの速度とバックサイドキャッシュの容量によって価格は違いましたが、この当時NewerのG3カードは安いもので10万円、高いもので15万円ぐらいしましたがバカ売れしました。当時のPowerMacは1台50万円以上しましたから、10万円前後を投資するだけでMacが倍速になるのであれば安い買い物だったからです。

そして、遅ればせながらアップル自身もG3を搭載したMacを1997年11月に発売します。

ということで、1997年下半期はMac業界はG3で大盛りあがりでした。
 

MacworldサンフランシスコでのNewerの状況

1998年1月6日から開かれたMacworldサンフランシスコ。自分はNewerの一社員としてMacworldサンフランシスコに参加していました。

Newerの社員は、ブースの来訪者に対して展示してある製品の説明や今後半年の間に発売されるだろう製品開発状況などを説明していました。

NewerはPowerMac 7500/8500/9500用のG3カードの大ヒットで気を良くしており、これから他の機種用のG3カードの開発を計画していました。

デスクトップではPowerMac 6100/7100/8100用のG3カード、
そしてノートブックではPowerBook 1400と2400c用のG3カードの開発が開始されていました。

ですので、MacworldサンフランシスコでのNewerのブースは大盛況で、このPowerMac 6100/7100/8100用のG3カードとPowerBook 1400と2400c用の開発状況についての説明に追われていました。

それだけMacユーザーのG3化への期待が高かったということでもあります。
 

日本IBMのエンジニアがNewerのブースに電撃訪問

そんなブースでの製品説明が一段落ついたころ、ある男性が私に日本語で声をかけてきました。

「あの、すみません。私PowerBook 2400cの開発をしていました日本IBMのエンジニアなのですが、PowerBook 2400cのG3カードについてお話をさせていただけないでしょうか。」

歳は30歳前後の若い日本人の方でした。

「数時間前に、Newerのエンジニア部門のマネージャーの方と話をさせてもらったのですが、別の打ち合わせが入っているので後で来てほしいと言われたので戻ってきました。」とのこと。

そして、「現在PowerBook 2400c用で動作するプロトタイプのG3カードをお見せしようと思って持ってきました。」と、片手に透明の帯電防止袋に入れられたG3カードをつまんでみせてくれました。
 

G3カードのプロトタイプをゲットしろ!

これは一大事だと直感した私。急いで打ち合わせ中のエンジニア部門のトップ(CTO)のダリルのところに行ってその旨を説明すると、絶対にそのG3カードを借りてこいという命令が下りました。

そして日本IBMのエンジニアのところに戻って、Newerは日本IBMと一緒に仕事をすることに大変興味があるので、一度カンザス州ウィチタにある本社に来てゆっくりとお話を聞かせて欲しい旨を説明し、来社いただくまでの間日本IBMで開発したプロトタイプのG3カードをこちらで評価したいのでぜひともお貸しいただけないか、とお願いをしました。

エンジニアの方はNewerの前向きな回答に安堵した様子だったものの、G3カードの貸し出しについては自分の一存では決められないので、日本にいる上司に聞いてみるということでその日はお帰りになりました。

ただ、その翌日彼はNewerブースを再度来訪されて、Macworldが終わり次第Newerにマネージャーを送くるということになり、それまでの間G3カードを貸し出してくれることになりました。このあたりは日本人同士ならではの信頼関係がベースになっていますから、日本人って素晴らしいなと感じました。

自分の交渉でG3カードを借りることが出来たことを「すごい手柄だ、Good Job!」とCTOのダリルはすごく評価してくれたのでした。

そして、Macworldが終わったわずか2日後には日本IBMのマネージャー2名がNewerの本社を訪れていました。この早業に日本IBMのPowerBook 2400チームの本気度が垣間見えました。

その3に続く。。。
 

 
 
 

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