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《今だから明かせる秘密》PowerBook 2400cとNUpowr G3 for 2400の開発秘話 第9話

PowerBook 2400とNUpower G3

NUpowrの営業的な話は...

第7話の続きの在庫処分の話について書いていこうと思ったのですが、このシリーズは開発がメイントピックで営業の話になると趣旨とずれてしまうなと感じまして、この件の結末はプロジェクトNをお読みいただけるとうれしいです。

 

NUpowr G3/400MHzの開発

さて、これまで話をしてきたNUpowr G3 for 2400。このオリジナル版のCPU速度は240MHzでした。

これを400MHzにしたものを発売しませんか?というご提案を日本IBMから頂戴しました。1999年春のことでした。

1998年の後半は作りすぎてしまったNUpowrを、なんとか売り切ろうとひーひーいいながら代理店等を駆けずり回っていました。

一方で後発のインターウエア社から1998年末になってやっとPowerBook 2400c用のG3カードが発売されました。そのG3カードに使用されていたCPUは300MHzでした。NUpowrの240MHz以上の速度でしたからそれなりにヒットしたのでした。

ですから、CPUがさらに高速な400MHzであれば、コアなファンは買い換えることが予想出来、インターウエア以上にヒットするだろうなという感触はありました。

Newerの社長・副社長からは大反対

そこでNUpowr G3/400MHzの企画を社長に提案したのですが大反対されました。前回NUpowrは追加生産分が売れ残ったぐらいだったので、再度生産しても需要が見込めるかどうかわからない。もうNUpowrにはこりごりというのが社長の意見でした。

しかし、この時期日本のPowerBook 2400c人気はまだまだ健在で、少量であればハイエンドモデルは確実にニーズがありました。ですので、自分としてはNewerのためというよりも、日本のユーザーのために400MHz版を出したいという気持ちが大変強かったです。

Newerとしてリスクを取らない方法で400MHz版を実現できないかと、以下のような案を考えました。

  • OEM:NewerがNewerブランドではなく他社製ブランドで製造する。この場合は相手の会社から前金での支払いをしてもらう。
  • ライセンス方式:Newerは全く関与せずに、相手の会社が日本IBMと直接やりとりしてもらう。ただし、生産数量にあわせてライセンス費を支払ってもらう。
  • 代理店による買取:数量限定製品として代理店が買取り、特定のお店で独占販売をする。代理店はお客様は予約時に前金を支払ってもらい、その代金を日本IBMへの支払いにあてる

この話を加賀電子に話をしたところ、加賀電子の買取でやらせて欲しいということになり、400MHz版が現実味が出てきました。あとは社長の承認をもらうだけです。
 

社長の承認なしに開発スタート

社長に対して、NUpowr G3/400MHz for 2400がNewerにリスクが全くなく、かつ開発コストなし確実に一定の利益を得ることが出来、かつ日本のユーザーにも喜んでもらえる製品であることを丁寧に説明しました。しかし、それでも全く乗り気でない社長。NUpowrはもう生産しないと拒否されてしまいました。

しかし、Newer、代理店、日本IBM、販売店、日本のPowerBookユーザー、関係者全員にメリットのあるこの製品を諦めるわけには行きません。そこで、社長の承認なしに私の独断で企画をスタートさせました。失敗したらクビになる覚悟でした。
 

予約受け付け開始

加賀電子の薦めで秋葉原にある”企画室ゆう”さんが独占販売のお店となって頂きました。

まずNUpowr G3/400を限定生産品として予約をとってもらいました。条件としてお客様は予約時に前金で代金を支払うことになっていました。たしか価格は15万円前後だったと思います。

前金15万円の予約というのは厳しいかもしれないと思っていたのですが、蓋を開けてみればこの悪条件にも関わらず300件強の予約が入りました。

ここで集まった代金の一部を日本IBMに製造代金として支払うことで日本IBMに正式に発注となりました。日本IBMに発注をしてしまえば、納期に間違いはありません。この納期プラス1週間後をお客様への正式な発売日としてアナウンスをしました。

そして、実際にその納期通りに製品が納品され、企画室ゆうさんで予定の発売日に販売や取り付けを行うことができました。お客様にも大変ご満足いただけました。

米国の会社でこんな納期通りに製品を製造・販売ができるなんて夢のようでした。これを可能にした日本IBMには本当に感謝するばかりでした。
 

社長に事後報告

実はこのNUpowrの販売が全て完了した後に、社長にその旨を報告しました。社長は怪訝そうな顔をしていましたが、すでに全てのNUpowrは完売し、手元に1500万円程の利益が出ており、それを代理店から送金してもらうだけになっているという話をしたら、やっと喜んでくれました。

実はこの当時、Newerのキャッシュフローはかなりぎりぎりの状態でわずかなキャッシュであっても大歓迎だったのでした。

そして、加賀電子より送金してもらったこのNUpowr G3/400の代金が、Newerが日本の代理店から受け取った最後の代金となりました。

この送金から半年後2000年の初頭、Newerは事実上の倒産となりました。

次回は最終回。PowerBook 2400cの128MB化の話をします。


 
 
 

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