11人いるはSF漫画の最高傑作の1つ
以前このブログで「11人いる」について書きましたが、再度書いてみたいと思います。
「11人いる」はSF最高傑作の1つだと思います。本当に名作です。自分がこの漫画に出会ったのは1970年代、高校生の時です。
少女漫画(そんな見方は偏見なのですが)なんて全く興味がなかった自分が、ぐいぐい話に引き込まれていきました。
舞台は地球人類がワープ航法で宇宙へ進出を果たし異星人と共存する未来。様々な宇宙人が共学する宇宙大学の最終テストの実技試験。試験のために乗船した宇宙船には受験生10人のはずが、なぜか「11人いる」という謎の事実から観る側を惹きつけます。そして「なぜ11人いるんだ」「誰が余計な一人なんだ」といきなり仲間割れとなり、お互いが疑心暗鬼にとらわれる展開。観ている側はハラハラ・ドキドキ。
この作品はSFでありながら、主人公の過去や乗り込んだ宇宙船の秘密の謎解きに加え、友情・恋愛・エゴ・憎悪・人種差別など様々な要素が盛り込まれています。このストーリーは2020年現在、ハリウッド映画でも十分に通用するものだと思います。萩尾望都は天才です。
この作品は漫画だけにとどまらず、アニメ化され、さらに演劇にもなっています。
ヒロイン?フロルの性別の決定
さて、この話の主人公は「タダ」という青年。そしてヒロインはタダが好意をよせる「フロル」。
実は「フロル」は雄雌未分化、つまり男性でも女性でもない、これからどちらかの性別になる人種だったことが話が進むうちにわかってきます。
フロルは男性に憧れており、宇宙大学に合格すれば男性になれる権利を得られるために受験をしていたのでした。
大学の最終テストの合格条件は割り当てられた宇宙船に乗員10人全員が53日間船内にとどまること。一人でも脱落者が出れば全員不合格となります。
途中様々なアクシデントに見舞われますが、皆の力ですべての問題を解決していきます。しかしテスト終了まであとわずかという段階で、フロルが死にいたる伝染病に感染してしまいます。
ここまで皆で頑張ってきたのに自分のせいで全員を不合格にさせたくないフロル。自分としても男性になれなくなってしまうのが嫌で最後まで抵抗します。しかしフロルを病気で死なせるわけにはいかないと全員でリタイヤを決断します。
タダのプロポーズに応えるフロル
そして、落ち込むフロルに対し「女性になったら自分の星に来て結婚しないか」と、タダがフロルにプロポーズをします。
しかし、なんとこのチームが受験生の中で一番長く乗船していたことがわかり、全員合格となりました。その結果フロルは男性になる権利を得ることになります。
入院したフロルを見舞うタダ。フロルが男性になれることをちょと寂しげに喜ぶと、フロルはタダに対して「女性になって結婚してもいいよ」と返すのでした。
そして、ストーリーはここで終わります。読者はこの二人の将来について想像しながら余韻に浸るのでした。
女性になるのは性差別?
さて、1970年代はこのストーリーで全く問題ありませんでした。
しかし、2020年現在。
”結婚のために性別を選択する自由を失うのは差別だ!”
と、LGBT団体はクレームをつけるかもしれません。
”フロルはタダに遠慮することなく男性になるべきだ!それでもタダがフロルを愛しているなら同性婚をすればいい!”
と主張したらどうします?これは自分の考えすぎでしょうか?
LGBTの人はどの性別を選択したいのか
素朴な疑問なのですが、LGBTの方は性別を選択できるとしたらどのように選択するのでしょうか。
例えばマツコ・デラックスさんの場合、もしフロルのように性別を選択できるような人種だったら、男性を選ぶのでしょうか?それとも女性を選ぶのでしょうか?
何が言いたいかというと、マツコさんは男性として男性を愛することを望んでいるのか、それとも女性になりたいけれどなれないのでしかたなく男性として男性を愛しているのか、どちらなのかなと疑問に思っています。
どちらなんでしょうね。
ちなみに、「11人いる」ですが、漫画はKindle版が出ています。便利な時代です。
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