日本人は言ったことに対して責任を取らないといけない人種なので、仕事において100%自信がないことは約束はしません。少なくても自分はそうしてきました。
納期の約束
Newer Technologyにおいて製品の納期が守られる可能性は5分5分でした(苦笑)。
日本であれば9割9分自信がなければ納期を約束しないと思います。逆に一度納期を約束してしまったら、徹夜をしてでもその日に間に合わそうと努力すると思います。
しかしNewerの場合(たぶん多くの米国企業の場合)、確実でもない納期を約束して、結果遅れるということがよくありました。納期に対する見積もりが甘いというか、言葉に重みがないというか。遅れてしまっても、諸般の事情があったのだからしょうがないよね的な感覚です。
日本では仕事の約束を守らないなんてことは許されませんが、ここらへんは米国の会社はイージーゴーイングです。
代理店が小売店に約束出来ない
そんな感じなので、私は日本の代理店に納期の約束をしませんでした。「もしかするとXX日に納品できるかもしれませんが、正確にはわかりません。」というようなお茶を濁すような、歯切れの悪い表現をすることにとどめました。
すると代理店も小売店に対して正確な納期を約束できません。
でも小売店からすれば前もって納期の日にちを言ってもらわないと、お客さんに告知も出来ないし、お客さんが買ってくれるかどうかの反応をみることもできません。であると、何個売れそうだとか、代理店に何個注文をしようかというような予定が立てられません。それでは商売が円滑にできないので、販売店は代理店に納期を約束させたがりますし、結果代理店はNewerに納期を約束させたがります。
ただ、自分としは約束できないものはできないと、丁重に断るしかありません。
社長がテキトーな納期を約束して大混乱
しかし代理店はそれでは納得できないので、社長や営業部長に直談判をするわけです。すると、そういう日本人の厳しさを知らない社長が、かんたんに納期を約束してしまったりするのです。
代理店は社長が約束したのだから、絶対に納期は守られるはずだ!と確信して、小売店などに納期の日にちをアナウンスします。そして小売店はその日にあわせていろいろな準備をするわけです。
ところが社長がいくら約束をしたところで、社長が自分で手作業して製造しているわけではありませんから、製品が納期どおりに出来てくるかはわからないのです。
結果、納期当日に手元に製品が来ないことがよくありました。
すると販売店は代理店にクレームを入れてくるわけですから、代理店はただただ謝るしかありません。
同様に代理店は私に文句を言って来ます。約束なんだからなんとかしろ!と自分が叱られることになるのですが、こればかりは自分の力だけではどうしようもありませんから、私もただただ謝るしかありませんでした。
米国の文化と日本の文化を仲介するのが代理店の役割
こういう文化の違いというのは、ビジネス上一番難しい部分です。
ですので、日本の代理店というのは、製品を輸入して販売することで一番の仕事ではありません。こういう文化の違いを理解して、米国メーカーと日本の小売店のクッションのような役割をすることが求められています。
ですのでみなさんが今後、発売が延期になっている輸入品のアナウンスを見かける機会があったら、裏では代理店がかなり苦しんでいることを察してあげて下さい。