kyokucho/宮田健の気分はブルースカイ:第11回 アトラクションは二卵性双生児?

気分はブルースカイ

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さて、先週土曜日にロス、アナハイムのDisneyLandにて、ビッグ・サンダー・マウンテンが車両脱線により1名死亡、10人が重軽傷という痛ましい事故が起きてしまったことは様々なメディアで報道があったので皆さまもよくご存知のことかと思います。この事故を時系列にまとめると、

・日本時間の9/6未明、先頭車両にて脱線、1両目の座席に乗っていた男性が死亡。
・それを受けて、東京ディズニーランドの同アトラクションが9/6の朝より「事故原因が不明なため、安全が確認できるまで」運転を中止。ほぼ同タイミングでパリも運転中止(フロリダはたまたま定期点検中で動いていなかった)。
・ほぼ同時に東京ディズニーランド内での報道を規制
・9/7 朝10時より、東京ディズニーランド側アトラクションは安全点検の上運行を再開

さて、この中の報道でいくつか興味深い点がありました。それは、「ロスのビッグ・サンダー・マウンテンは最高速度45キロであるが、日本のものは最高40キロ」「日本のものはフロリダのものを元にしているため、ロスのものとは構造が異なる」・・・はて、同じアトラクションでも内容が異なるのでしょうか。

結論から言うと、モチーフとなったバックグラウンド・ストーリーこそ同じですが、同名のアトラクションでも各テーマパークで内容が異なることが多いです。たとえば、ロス、フロリダ、東京、パリの全ディズニーテーマパークに存在している「スペース・マウンテン」などは、たとえば日本版は横に2名掛けの座席になっていますが、フロリダ版は1名掛けでしかも内部は2系統のコースがあったり、ロス版は激しいBGMが流れていたりと全く印象が違います。さらに、パリ版ではモチーフ自体がことなり、宇宙旅行は宇宙旅行なのですが、その他の3パークでモチーフになっているアポロの宇宙飛行士 ゴードン ・クーパーの体験ではなく、なんとジュール・ベルヌの月世界旅行なのです。同様にホーンテッド・マンションなども各地で様式が異なるのがおもしろいです(こちらも、パリ版は名称自体が「ファントム・マナー」となっておりかなり異なるようです)。

で、今回事故が起きてしまったビッグ・サンダー・マウンテンですが、もっとも古いロス版とは若干異なるフロリダ、Walt Disney World版を元にし、コースターの設計自体は日本独自で行ったものが東京ディズニーランド版になるようです。そのため特にロス版との関係は単に「名前とバックグラウンドストーリーだけが同じ」という結論になったための早期再開となった模様です(もちろん、慎重に点検は行われていると思いますけれど)。このようにアトラクションが同じ名称であるのに内容が異なる、という理由は、おそらくですが「時代背景」「地域性」「運」の要素があると思います。時代背景というのは、ビッグ・サンダー・マウンテンのオリジナルであるロス版のオープンが1979年、東京版が1987年なので7年間の時間差があります。もちろん、この業界も日進月歩ですから、その時点でのベストショーを持ってくることになるために内容が若干異なるようになるのでしょう。次は地域性。これは各国の規制等があることから、US版では炎が上がる部分も日本では規制のため炎が使えない、というようなものがありますし、その他にも特にパリのアトラクションはどことなくパリっぽいものにしているなど、意図的に内容を変更しているものもあります。最後の「運」ですが、ビッグ・サンダー・マウンテンのテーマ性を表現するために必須だったエントランス部分の「蒸気機関」がロス、フロリダ版のオープンまでに見つからなかったということがあります。このあたり、模型を作る技術があるにもかかわらず本物にこだわるあたりがディズニーのイマジニアのスゴイところです。で、その後、無事本物が見つかり東京ディズニーランド版に使われております。そのため、このビッグ・サンダー・マウンテンの完成形は東京ディズニーランド版だ、といわれています。

話は戻って今回の事故についてなのですが、ディズニーがパーク運営をするにあたって鍵としている項目は「SCSE」と言われています。これは、Safety(安全性)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率性)のそれぞれの頭文字を集めたもので、さらにディズニーはこれらの4つを、SCSEの順番で重要だと述べています。つまり、どれだけショーの要素がすばらしくても、どれだけ礼儀正しくても「安全性」がなければ何の意味もないということです(そういう意味では、風評被害を押さえるべくマスコミの報道を断ち切った東京ディズニーランドの運営サイドは評価に値すると思ってます。日本のマスコミは不安を煽る以外の報道はしていませんでしたから)。今回、大変な惨事になってしまいましたが、ディズニーにはこのことを真摯に受け止め、一日も早く元通りの「世界で一番幸せな場所」となるようにしてほしいと思います。

では!
(kyokucho/宮田 健)

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