PCの選択肢は無数にある
昨日、選択のパラドックスについて書きました。
選択肢は1つよりも2つ、2つよりも3つ、と選択肢が多ければ多いほど自分の好みにフィットするものが見つかる可能性が増えます。しかしその一方で選択肢が増えれば増えるほど、ベストのものを見つけることが難しくなります。
PCユーザーがPCを買い換える時に、選択肢は無数にあるわけです。なので、自分のニーズにあるPCが必ず見つかると考えやすいのですが、実際には選択肢がありすぎて何を選ぶべきかすごく悩むのではないかと想像します。
まずはメーカー。国産メーカーなのか、台湾メーカーなのか、米国メーカーなのか。
次にCPU。インテルなのか、AMDなのか。インテルならi3, i5, i7, XEON。AMDならRyzen。
ストレージサイズは?メモリー容量は?そして価格は?セールをしているお店はないか?
どの組み合わせがベストなのか?そんなこと考えていたらとても1日では決定できません。決定するまで数日、または数週間かかるのではないでしょうか。
こういう悩んでいる時間が楽しいという気持ちは否定しません。ただ、決まらなくてもやもやする気持ちも同時にあることも事実です。
ジャムの試食実験
「ジャムの試食販売」の実験という、行動経済学界では有名な実験があります。
スーパーマーケットで6種類のジャムを試食してもらい、気に入ったジャムがあればクーポンを差し上げるので購入してくださいとおすすめしたところ、試食した人の30%が購入しました。
そこで、お客様の細かいニーズに対応できるように、ジャムの数を4倍の24種類に増やして試食してもらったところ、購入した人は試食した人の3%に激減してしまいました。
この実験結果をもとにいろいろな研究が行われてある結論がみちびかれました。それは...
人は選択肢が多すぎてしまうと、決定を先送りする性質がある
ということでした。
それゆえ、PCの買い替えはなかなかはかどりません。
Macの選択肢は限られている
一方、Macの選択肢は限られているので、悩むことはあまりありません。
デスクトップならMac mini、iMac、Mac Proのいづれか。ノートブックならMacBook AirかMacBook Proのいづれか。
あとはメモリー容量とストレージのサイズが決まれば終わりです。常に定価販売ですから、セールをやっているお店を探す必要がありません。
ユーザーが購入しやすいシンプルな製品ラインアップで定価販売にすることで、ユーザーは迷うことなくMacを購入できます。これがアップルの営業戦略です。
選択肢がたくさんあるから幸せかというと、そうでもないというお話でした。