消費増税前の駆け込み需要のパワー
ビックカメラが19年8月期の通期連結決算を発表しました。
前回、アップル製品ばかりが売れて減益になった理由を推測しました。
今回はその時に発表された売上高のグラフの説明でPayPayのキャンペーン以上に気になったことがありました。
それは消費増税前の駆け込み需要の結果です。
以下は月毎の売上の比率を示したグラフです。
このグラフで興味深いのは消費税アップの駆け込み需要で、売上高の伸び率が約160%にもなっていることです。
つまり消費税の駆け込み需要ってPayPayの100億円還元キャンペーンよりも3倍も効果があったということです。つまり単純計算で300億円還元分の効果と等しいわけです。
あれだけ騒がれたPayPayのキャンペーンの3倍もの売上がひっそりとじわじわと行われていたわけです。
ビックカメラとしてうれしいことはPayPayに支払っただろうタイアップ料は全くかからなかったということでしょうw。
ただこれから一気に揺り戻しで商品が全く売れなくなりまから、長い目でみたら消費税アップは小売業にはダメージなんですけれども。
駆け込み需要のほうがは売上が大きい理由
ではなぜ、100億円還元キャンペーンよりも消費税増税前の駆け込み需要のほうがは売上が大きかったのか?
(全くの推測ですが)答えは「人は得をしたいと思う気持ち以上に損をしたくないという気持ちを持つ性質がある」から。
ここらへんは小難しい話をするとプロスペクト理論ってやつで説明ができるのですが、もし興味があれば以下のページがわかりやすいので読んで見てください。
そこで紹介されているグラフを簡単に説明すると「人はちょっと得してが嬉しい感情よりも、ちょっとでも損をするほうが嫌な気分になる」ということです。
この感情によって、「2%分税金を多く取られて損をするぐらいなら、増税前に商品を購入しておこう」という強いモチベーションが生まれた結果が駆け込み需要なのかなと。
PayPayは開始時の登録その他が面倒であったわけで、それでも消費者に登録してもらおうと20%もの還元キャンペーンをしたわけです。もちろんそれなりに効果があって、ビックカメラは20%の売上げアップにつながりました。
しかし、今回はわずか2%の損をしたくないという心理が強い購買意欲となって、売上3倍増に押し上げたわけです。いやー、すごいパワーです。
20%得をするよりも、2%損をしたくないと考える人の心理は本当に興味深いです(もちろんこの推測とは別の要因も複合的にたくさんあるとは思うのですが)。